インテリジェンスシステムズがおくるロールプレイングシミュレーション・FEより、
吉田淳志作曲、蒼炎の軌跡の『With Us!』。仲間入りイベントで流れます。
ファイアーエムブレムシリーズのうち、初のゲームキューブ作品としてシリーズ生誕15周年の記念日に発売された本作。神に近い姿をしたベオクと、神と獣のはざまの姿をしたラグスと呼ばれる二つの種族が暮らす大地・テリウスを舞台に、クリミア王国のグレイル傭兵団に所属する団長の息子・アイクは、敵国の急襲により失った父と祖国のために、亡国の王女・エリンシアとクリミア再興を目指していく。シリーズ初のフル3Dグラフィックと、獣牙族・鳥翼族・竜鱗族から成る個性的な新ユニット・ラグスの存在が特徴で、ノーマルやハードに加えて究極の難易度となるマニアックが追加されたことで、より歯応えのあるゲームバランスを楽しめるようになった。主人公が王族ではないというシリーズ初の試みと、王道かつ硬派なシナリオおよびゲーム性とが相まって、新要素の多い意欲作ながらも非常に手堅くまとまった仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは辻横由佳氏、寺前香菜子氏、春山(現姓は春日)沙樹氏、平野(現姓は関河)義人氏、三留尚子氏、吉田淳志氏の六名。いずれも当時インテリジェントシステムズに所属していたか、現在もしている作曲家で、特に辻横氏は初代から携わっているシリーズサウンドの生みの親である。春山氏は前々作、平野氏は前作から引き続きの参加で、その他はシリーズ初参加である。しばらく携帯機で展開してきたシリーズだが、本作で据置機に復帰したことで、ゲームキューブ音源の底力を見せつけるような荘厳かつ重厚なサウンドが勢揃いしている。サウンドトラックは長らく未発売だったが、10年越しの2015年にようやく待望の音源化に至った。
キャラが自軍に仲間入りを果たす際のイベントシーンで流れるのがこの曲である。勢いを蓄えながら始動するイントロのトランペットが印象的で、6秒過ぎには早くもサビのメインフレーズが到来、勇ましさ全開のオーケストラが奏でられる。弦楽器の優雅で壮麗な音色が重なり合うことで、力強さと気品を兼ね備えた旋律を生み出し、特に38秒あたりのストリングスの滑らかな音使いが、実り豊かな伴奏と相まって抜群の聴き応えを誇る。新たな戦力を獲得したことの歓び、頼もしさ、そしてこれから共に手を携えて戦場を生き抜く覚悟、そのすべてを見事に凝縮した一曲である。
これが流れた途端、期待感が急上昇するような、そういう心地良さがありますよね。音の一つ一つが生き生きと飛翔しているような感じで、背中を預けたくなる気分にさせてくれます。