西浦智仁作曲、『TWO HORNS～グラディウスタワー』。
グラディウスタワーで流れます。
レベルファイブによる渾身の大作RPGとして送り出された本作。様々な惑星がひしめき合う銀河系を舞台に、宇宙に憧れる少年・ジェスターは、ひょんなことから宇宙海賊にスカウトされ、海賊の娘・キサラや仲間たちとともに星々をめぐる大冒険に旅立つことになる。戦闘も移動もイベントもすべてロードを挟まずに繋がるシームレスなゲーム性と、壮大なSFの世界観のもとで繰り広げられる星雲状態のシナリオが特徴で、道中立ち寄るダンジョンが凄まじく広大であるがゆえにボリュームは満点である。合成ガマを使った武器の生成や工場（ファクトリー）を使ったアイテムの製造といった要素が充実している一方で、UIや操作性の煩雑さなども目立つ。王道を追求しつつ野心的な仕上がりとなっている。後にシステム面を調整して遊びやすさを向上させたディレクターズカット版が発売された。
本作の音楽を担当するのは西浦智仁氏。レベルファイブに所属する作曲家で、本作以前にダーククラウドとダーククロニクルでRPGの作曲を経験したことがある。本作においてもその2作で築き上げた濃厚なオーケストラサウンドを主軸に据えていて、ストリングスやコーラスをふんだんに用いることでスペースオペラ的な作風を盛り上げている。サウンドトラックはオリジナル盤のほかに、氏自らが厳選した一部の楽曲を名だたるサウンドクリエイターたちが編曲したプレミアムアレンジ盤も存在する。
グラディウスタワーは中盤に訪れる塔で、似た構造の二つの塔を行き来しながら攻略することになる。広大なダンジョンが数多く待ち受ける本作のなかでも突出して広く、その探索のお供に流れるのがこの曲である。焦燥感漂う弦楽器にコンガと思しきラテン風のドラムが重なり、各小節の終わりにポワッと響く不思議な音色が加わることで、耳にこびりつくような中毒性を生む。どこか不穏で猜疑的な印象を与える木管の旋律がますます底なしの深みへと誘い、1分16秒で初めて鉄琴が入ると、ループ手前の最後のフレーズにつかの間のメリハリをもたらす。長時間にわたるダンジョン攻略をミステリアスでメランコリックな雰囲気で彩る一曲である。
印象に残っているのはこの曲ですが、好きなのを挙げるとすればファクトリーの曲で、編集中も生産中も素敵な音楽が流れます。『FACTORY (IN EDITING)～ファクトリー（編集中）』、『FACTORY (IN PRODUCTION)～ファクトリー（生産中）』、二つともあわせてどうぞ。
