VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1636 『伝染愛』(田中敬一/KOF MAXIMUM IMPACT/PS2)

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SNKがおくる対戦格闘ゲームKOFより、

田中敬一作曲、マキシマムインパクトの『伝染愛』。Live Houseステージで流れます。

SNKの人気キャラが一堂に会するKOFシリーズの外伝作として家庭用機向けに登場した本作。ストリートギャングが蔓延るダウンタウンで、ギャングたちのキングが新興勢力に暗殺されてチームの均衡が崩れるなか、次期キングと目される青年・アルバらが闘争に身を投じることになる。多対多のチーム戦で構成されたこれまでのシリーズとは異なり、本作は1対1でキャラ一人ひとりにフォーカスした作風が特徴である。プレイアブルキャラは本作オリジナルの個性的な顔ぶれに加え、本家の草薙京や有名どころのテリー、リョウなど総勢20名から成る。主な操作体系や攻撃、ジャンプなどの多彩さは2Dのゲーム性を踏襲しているが、相手の側面に回り込むサイドステップ、相手を中心に円を描くように移動するサークルモーションなど、3D的な軸移動の概念が追加されている。また、タイミングよくコマンドを繋げるスタイリッシュアートがあり、キャラごとに独自の鮮やかなコンボを決めることができる。総じてシリーズの流れを汲みつつ外伝らしく捻りを加えた意欲作に仕上がっている。後にマイナーチェンジ版のMANIAXがXboxPS2向けに登場した。

本作の音楽を担当するのは田中敬一氏。当時、自身が代表を務める音楽制作会社スタジオアクアに所属していて、かつてSNKに在籍していた経験がある。KOFシリーズが始動した頃にはすでにSNKを離れていたため、これまでシリーズの作曲には関わってこなかったが、本作で初めて参加して以来、マキシマムインパクト系列には連綿と携わることになる。本作ではファンキーなロックやスピーディーなドラムンベースをはじめ、ボイスやクワイアを取り入れた刺激的なものまでインパクト抜群の楽曲が取り揃えられている。SNK作品の例に漏れず曲名のネーミングセンスが一風変わっているのも印象的である。サウンドトラックには短いジングルも含めて2枚組で収録されている。

Live Houseステージで流れるのがこの曲である。ストーリーモードでは主にソワレ、ミニョン、八神庵との対戦ステージとして登場する。足元で光るライトタイル、天井のカラフルな照明、湧き上がる歓声など、ライブハウスならではのムードが色濃く漂うなかで、この曲は冒頭からスタイリッシュな囁き(おそらく "transmission amour" で「伝染愛」のフランス語)を添えて臨場感を抜群に整える。核となるフレーズは非常にダンサブルであると同時に激しさと切なさを兼ね備えていて、30秒あたりからシンセストリングスが入るとますますスリリングでセンチメンタルな雰囲気を充満させる。55秒からはすこし変化をつけて独特な浮遊感とうねりを生み、テンションが温まってきたところで1分20秒から一転して勢いを抑え込んで不明瞭ながらも耳に残る女声が聴こえ出す。やがて1分33秒から聴き馴染みのある力強い歌声のようなものが入ると、次第にループへと突入する。悲喜交々、愛憎相半ばする独自の艶めかしさがある一曲である。

揺さぶられる感じがしていいですね。