VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#013 『世界の記憶』(下村陽子/ラジアントヒストリア/NDS)

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アトラスとヘッドロックがおくるRPGラジアントヒストリアより、

下村陽子作曲、『世界の記憶』。帝国跡地で流れます。

死亡フラグをへし折るRPG」というキャッチコピーのもと、完全新規タイトルとして登場した本作。資源の枯渇により砂漠化に直面する滅びの世界を舞台に、大陸東の国アリステルの密偵として暗躍する主人公ストックは、数奇な巡り合わせによって手に入れた過去遡行の異能を頼りに、滅びゆく世界を救う使命を負うことになる。正伝と異伝と呼ばれる互いに影響を与え合う二つの並行世界を行き来し、一方の世界で起きた危機を打破すべくもう一方の世界の様子を窺うことを繰り返し、物語が進むにつれ主人公の正体と世界の隠された真実が明らかになっていく。複雑に絡み合うシナリオの伏線とキャラクターたちの思惑とが相まって、全体的に手堅く重厚な仕上がりとなっている。後に3DSにリメイクされた。

本作の音楽を担当するのは下村陽子氏。フリーランスの作曲家である。氏はリメイク版の追加曲やアレンジも含め、単独で作曲している。本作では王道のファンタジー路線でありつつも、時間移動や過去改変といったクリティカルなテーマを扱っていることから、歴史を変えてしまうことの切なさに重点を置いて作曲しているという。オーケストラサウンドを中心に、民族楽器を用いたものなどバラエティ豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックはオリジナル音源のものとリメイク音源のものが発売されている。

ラストダンジョンとして、かつて巨大な影響力を持ったとされる亡国の跡地を舞台に、最後の戦いへと歩みを進める際に流れるのがこの曲である。廃墟というイメージにふさわしい退廃的なサウンドと、悲痛な運命を思わせる壮大な曲調が特徴で、滑らかに展開されるフルートの主旋律が、ストリングスと競い合うかのごとく勇ましく響き渡る。儚くも生気に満ちたピアノとハープの伴奏が、死を目前とした世界で何事にも臆せず果敢に立ち向かわんとする姿勢を後押ししてくれる。終末ものらしい、情熱的ながら冷静な雰囲気に満ちた一曲である。

身震いするような魔術的な没入感があって、一気に引き込まれるような印象です。1分18秒あたりのピアノが段々と音階を上るところが特に好きです。