VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#436 『Delphinus Delphis』(Austin Wintory/ABZÛ/PC・PS4)

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Giant Squidが手がけるダイビングアドベンチャー・ABZÛより、

Austin Wintory作曲、『Delphinus Delphis』。マイルカのいるエリアで流れます。

風ノ旅ビトのアートデザイナー・Matt Nava氏がディレクターを務める本作。世界観や雰囲気重視の作風はそのままに、今度は海を舞台とした広大な冒険を描いている。本作では圧倒的な美しさを誇るグラフィックのなかを自由自在に揺蕩い、何百種類もの海洋生物たちとともに戯れることができる。時折目の当たりにする海の恐怖や古の秘密、言語を廃して語られる謎、それらの要素が複雑に絡み合って深遠な魅力を醸している。

本作の音楽を担当するのはAustin Wintory氏。風ノ旅ビトでも作曲を務めたアメリカ出身の作曲家である。本作では生命の源たる母なる海を表現するにあたって、ハープやオーボエを中心とした雄大なオーケストラサウンドに、こぢんまりとした室内楽的なコーラスを加えた遊び心あふれる楽曲が揃っている。ゲームタイトルから窺える通り、本作はシュメールおよびアッカド神話をモチーフとしていて、一部の曲名は神話の一節を用いたネーミングに、残りは作中に出てくる海洋生物の学名由来のネーミングになっている。

Delphinus Delphis、日本語ではマイルカと呼ばれるイルカの一種が登場するエリアにおいて流れるのがこの曲である。透き通るような笛の音とストリングスから始まり、19秒あたりから低音の伴奏が挿入されると、そこから慎重に流麗に曲が展開していく。焦らずゆっくりと、凛々しく奏でられる旋律は、惚れ惚れするようなしなやかな体躯を持つマイルカの姿を彷彿させ、神秘的な歌声が加わることでますます透明感が増していく。寄せては返すような波の動きに似た、滑らかで力強いメロディーが、躍動感に満ちた海の大冒険を鮮やかに彩ってくれる。

VR対応したらきっと最高でしょう。この曲は全体的に癒しの雰囲気が漂っていますが、ときに激しく、ときに恐ろしくもあるダイナミックな音使いが、海の性格をよく表していますね。