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#437 『Thunderbolt』(東野美紀/ライフフォース/AC)

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コナミがおくる縦横両スクロールシューティング・ライフフォースより、

東野美紀作曲、『Thunderbolt』。2面で流れます。

STGの草分けであるグラディウスの続編として登場した沙羅曼蛇、その海外移植版(LIFE FORCE)の題を借りた国内版リメイクにあたる本作。横スクロールと縦スクロールのステージが交互に入れ替わる斬新なゲーム性が特徴で、原作の沙羅曼蛇と比較すると、肝となるパワーアップシステムがアイテム制からカプセルストック制に変更されたほか、音楽やグラフィックが一部差し換えられている。特にグラフィックに関しては、巨大生物ライフフォースの体内に侵入するというシナリオに書き換えられたことを受けて、より生物的に、おぞましいほどグロテスクに進化し、原作とは一味違う独特な存在感を放っている。後に沙羅曼蛇とのカップリングでセガサターンやPS、PSPPS4向けに移植されている。

本作の音楽を担当するのはYoshiaki Hatano(はたのよしあき)氏と東野美紀氏。このうち作曲を務めているのは東野氏で、はたの氏は効果音まわりを担当しているものと思われる。東野氏はグラディウス沙羅曼蛇において、学生アルバイトとして作曲を手がけたことで知られ、そのクオリティの高さは本作で追加された新曲(なかには沙羅曼蛇の没曲が採用されたケースも)でも同様に確認できる。FM音源を用いたステレオ出力のアップテンポでシャープな楽曲群が、本作の毒々しげな世界観を煌びやかに彩ってくれる。サウンドトラックは本作単体では存在しないが、沙羅曼蛇とあわせて収録されているものが発売されている。

2面で流れるのがこの曲である。横スクロールだった1面とは異なり、2面は縦スクロールで、腎臓結石が浮遊する奇妙なエリアを進んでいくことになる。沙羅曼蛇の『Fly High』に代わり新たに収録された曲で、この曲はそうした生々しい場面を鮮やかに盛り上げてくれる。「Enter kidney zone(腎臓ゾーンに突入)」という無機質なボイスとともに流れ出すエレクトリックな音色が、高音を利かせたエネルギッシュなメロディーラインと、周期的なビートを刻むパーカッションの両方が混ざり合うことで、全体として鋭く尖った印象をもたらす。曲名通り、まるで稲妻のように激しく逞しい響きを帯びた一曲である。

コナミ創業50周年、おめでとうございます(※記事執筆時)。ちなみにこの曲は沙羅曼蛇ファミコン移植版でも使われていて、原曲ほどの派手さはありませんが、主旋律の美しさが引き立つような耳馴染みする仕上がりになっています。アレンジの担当は矩形波倶楽部の坂元信也さん、寺島里恵さん、前沢秀憲さん、藤尾敦さんです。あわせてどうぞ。

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