VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#638 『Flushing Bead』(作曲者不明/ゲイルレーサー/SS)

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セガがおくるレースゲーム・ゲイルレーサーより、

作曲者不明(後述)作曲、『Flushing Bead』。

AREA2-1のPROVOや4-2のSPRINGFIELDといった雨のコースで流れます。

アメリカ大陸の横断を題材としたアーケード用レースゲーム・ラッドモビールのアレンジ移植として登場した本作。地上最速と謳われるゲイルレーサーの栄誉を手に入れるべく、誰よりも速くロサンゼルスからニューヨークまでひたすら突っ走るという基本的なゲーム性はそのままに、移植に際して自車のみポリゴン表示となり、フレームレートの低下から滑らかさが削られる形となった。一方でライバルとなる敵車の数が大幅に増加し、次々と追い抜きながら、映画さながらのダイナミックなシチュエーションでアメリカ全土を駆け抜ける疾走感は健在である。セガサターン黎明期のレースゲームとして、原作と比べてかなり改変された仕上がりとなっている。

本作の音楽に関しては、スタッフロールのサウンド欄には木田義人氏の名前が確認できるが、ラッドモビールで作曲をおこなっていた長井和彦氏もスペシャルサンクス欄に名を連ねている。また、一部のソースでは開発元のシステムサコムに所属していた齊藤智氏が作曲していた可能性も示唆している。このため、誰が実際に作曲をおこなったのかは判然としていない。こうしたなか、本作ではラッドモビールと似たような音楽性を継承しつつも全曲差し替えられていて、新調されたロックテイストのクールな楽曲群が白熱のレースを彩ってくれる。サウンドトラックは長らく発売されてこなかったが、ラッドモビールの20周年にあわせて登場し、ラッドモビールのものと一緒に本作の楽曲も収録されている。

AREA2-1のPROVO、3-1のCHEYENNE、4-1のSPRINGFIELD、いずれも雨ないしは雷雨のコースで流れるのがこの曲である。激しく打ち付ける雨のために極度の視界不良に陥りがちな、なかなかに条件の悪いエリアだが、そうした逆境に真っ向から立ち向かっていくような力強い一曲である。ヒロイックに響き渡るエレキギターは、向かうところ敵なしと言わんばかりの大胆な盛り上がりを終始見せ続け、豪快なエンジン音や雷鳴などに負けず劣らずの轟音を響かせる。曲名の意味はさしずめ「迸る雨粒」といったところで、雨が降ろうと槍が降ろうとトップスピードで疾駆する走り屋たちの雄姿がありありと目に浮かぶ。

コースは短いし状況は切迫しているし、あまりゆっくり音楽に耳を傾ける余裕はないかもしれませんね。ただ身に染みるほどの格好良さは印象に残っています。

※作曲者について指摘をいただいたので、記事内容を一部加筆修正しました。