VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#096 『Headless Beast』(Bill Kiley/Pause Ahead/PC)

www.youtube.com

Askiisoftがおくる2Dアクション・Pause Aheadより、

Bill Kiley作曲、『Headless Beast』。ラスボス戦で流れます。

死に覚えゲーとして名高いフリーのレトロ風2Dアクション・天国の塔に続き、インディーゲームを制作するAskiisoftの2作目として登場した本作。即死トラップといったおなじみの仕掛けが盛り沢山の横スクロールアクションで、一見矛盾しているゲームタイトル(Pause Ahead、停止して前へ)に違わぬ奇天烈な操作性が特徴である。本来ゲームを一時停止するために用いるポーズだが、本作の主人公はポーズ中もポーズ直前の勢いを保ったまま移動することが可能で、その間トラップや敵の当たり判定は消失するため、通常の手段では進行不能であるはずのステージギミックをかいくぐることができる。その奇抜なゲーム性と巧みに練り込まれた難易度とが相まって、斬新さが光る意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのはBill Kiley氏とflashygoodness氏。いずれも海外で活躍するフリーランスの作曲家で、特にflashygoodness氏は天国の塔をはじめ、Askiisoftの黎明期から数多くの作品を手がけている。本作ではKiley氏がメインで作曲し、flashygoodness氏はエンディングおよび隠しステージの担当となっている。地獄を彷彿させる暗く陰鬱な作風に沿った、うねりの効いた楽曲が揃っている。サウンドトラックはSide AとBに分かれていて、前者はKiley氏の担当分が、後者はflashygoodness氏の担当分が収録されている。

ラスボス戦で流れるのがこの曲である。ラスボス戦では、本作の根幹ともいえるポーズ機能を乱用する数瞬前の自分の影に追われるため、過去の自分から絶えず逃げ回るという、特殊な戦闘を繰り広げる破目になる。怪物の遠吠えのようなイントロから始まり、そこに派手なパーカッションとけばけばしい電子音が加わることで、ラスボスならではの重苦しさを演出している。耳に残るようなヒステリックな高音を用いた主旋律と、ところどころ効果音を交えて不気味に響く伴奏を組み合わせることで、切迫したシチュエーションにマッチした焦燥感を生み出す。独特な最終決戦を彩るにふさわしい、どことなく恐怖心を煽る一曲である。

ラスボス戦のシチュエーションと曲の相乗効果ですごくぞくぞくしますね。