VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#140 『Doki Doki Literature Club!』(Dan Salvato/Doki Doki Literature Club!/PC)

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Team Salvatoがおくるビジュアルノベル・Doki Doki Literature Club!より、

Dan Salvato作曲、『Doki Doki Literature Club!』。本作のメインテーマ。

PC用の完全フリーのノベルゲームとして登場した本作。ひょんなきっかけからLiterature Club(文芸部)に入部した主人公は、幼馴染のSayoriをはじめ、そこで出会った部長のMonika、後輩のNatsuki、同い年のYuriとともに、ドキドキがいっぱいの交流を深めていくことになる。テキストは全編英語だが、登場人物の名前や舞台設定は極めて日本的で、いわゆる典型的なギャルゲーをオマージュしている。物語を進めていくうちに明かされるヒロインの切なる思いとその演出の妙が最大の特徴で、カルト的な人気を誇る仕上がりとなっている。後に追加要素を加えたPlus版がPC、スイッチ、PS4、PS5、Xbox OneXbox Series X|S向けに登場した。

本作の音楽を担当するのはDan Salvato氏。Team Salvatoの代表者で、音楽だけでなくシナリオもプログラミングもすべて担当している。本作では、同じ曲を用いるのでもヒロインごとに楽器を入れ替えることでそれぞれの登場人物の個性を強調したり、個々のシーンにマッチした工夫をサウンドに組み込むことでよりシナリオへの没入感を強めたりするなど、動的な操作がすくないビジュアルノベルだからこそ映える音楽的な演出が充実している。サウンドトラックはDLCのファンパックに同梱されている。

メインテーマであり、タイトル画面の曲であり、イベントシーンで繰り返し聴くことになるこの曲は、ゲームのタイトルを冠した本作の代表曲である。楽天的に響く笛の音から始まり、女の子の可愛らしい「ドキドキ!」のボイスの後に続くクリーンなピアノが、明るくポップな雰囲気をストレートに反映している。あくまで陽気に、一切の後ろ暗さを感じさせない前向きな旋律が、いつまでも耳に残る安心感を与える一方で、最後の最後で軽く区切りをつけるように締め括られるピアノの音色が、一抹の哀愁を漂わせる。こざっぱりした華やかさに満ちた一曲である。

モニカ可愛いですよね。これのボーカル版にあたる『Your Reality』はぜひ実際にゲーム内で聴いてください。