クローバースタジオがおくるネイチャーアドベンチャー・大神より、
上田雅美作曲、『神州平原 其の二』。昼の神州平原で流れます。
元カプコンのスタッフから成るクローバースタジオ発のアドベンチャーゲームとして登場した本作。神話で語り継がれる古代日本のナカツクニを舞台に、英雄・イザナギによって封印されたはずの怪物・ヤマタノオロチが復活したことを受け、白いオオカミの姿をした太陽神・アマテラスが、道中で出会う旅絵師・イッスンとともに災厄に立ち向かうことになる。水墨画のような繊細で美麗なグラフィックと、神話や昔話、アイヌの伝承まで幅広く取り入れた創造的なシナリオが特徴で、筆しらべと呼ばれる、画面上に特定の模様を描くことで発動できる森羅万象を操る神業によって、一瞬で昼夜を反転させる、枯れ木に花を咲かせる、物体を真っ二つに斬り裂くするなど、バラエティ豊かなアクションが揃っている。フィールドを走り回るだけでもその美しさに心打たれるような、非常に上質かつ芸術的な仕上がりとなっている。後にWiiに移植されたほか、HDリマスター版がPS3、PS4、XboxOne、PC、スイッチに登場した。
本作の音楽を担当するのは上田雅美氏、グローベス明里（海田明里）氏、近藤嶺氏、山口裕史氏の四名。上田氏と山口氏は当時クローバースタジオに所属していた作曲家で、グローベス氏はかつてカプコンに在籍していた経験のあるフリーランスの作曲家、近藤氏は音楽制作会社T's MUSICに所属している作曲家である。本作では和風の世界観にふさわしい、和楽器を使った情緒豊かな楽曲が数多く揃っていて、その息をのむほどの完成度の高さゆえに、音楽の人気は非常に根強い。オリジナルサントラのほかにピアノアレンジや五重之音調（三味線・尺八・バイオリン・チェロ・ピアノの五重奏）のCDも発売されている。
物語の序盤にて訪れる神州平原は、ナカツクニで最も美しいと謳われる豊饒の大地である。その地で流れるこの曲は、壮大な冒険の幕開けを予感させる伸び伸びとした音使いが魅力である。尺八の透き通った旋律を軸に、三味線の陽気な音色や絢爛豪華なオーケストラを随えて奏でられる雄大な曲調は、壮麗なグラフィックと相まって瑞々しさたっぷりの好印象を与える。早朝や夜に流れる、比較的おとなしめな『神州平原 其の一』と比べて、この曲では打楽器や鈴の音が加えられることで、野を駆け巡る快感が余すことなく表現されている。
『其の一』と『其の二』でセットなので、単曲で聴くとイントロがすこし切れ気味ですね。繋ぎ合わせたものをどうぞ。
