VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#241 『メインテーマ』(鵜飼秋子/ぼくのなつやすみ/PS)

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SCEがおくるなつやすみアドベンチャーぼくのなつやすみより、

鵜飼秋子作曲、『メインテーマ』(仮称)。ホタル沢などで流れます。

小学校三年生のボクくんの視点から、1970年代、昭和の夏を追体験する本作。母親が臨月を迎えたことで、親戚のおじさんの家がある田舎町・月夜野に夏休みの間預けられた少年が、ひたすら夏休みを満喫することになる。昆虫採集に勤しんだり、魚釣りを楽しんだり、家でごろごろしたりして、8月1日から31日までの一月限りの夏休みを自由に遊び回ることができる。緑豊かな美しい自然に囲まれながら過ごす、どこかノスタルジックで切ないかけがえのない夏を、大人になってからでも体験できる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは鵜飼秋子氏。氏は4までぼくなつシリーズすべての作曲に携わっている。本作では田舎で過ごす夏休みというコンセプトに合わせて虫の声や川のせせらぎなど、自然音や環境音を中心に数多く収録されている。主題歌は『この広い野原いっぱい』のカバーで、以降のシリーズでも様々なヒット曲のカバーが取り入れられている。3以外はサントラが発売されておらず、曲名は便宜上の仮称とする。

居候先のおじさんに、夜のホタル沢には行くな、と釘を刺されつつも、それでも約束を破ってホタル沢に足を踏み入れたときに流れるのが、本作のメインテーマでもあるこの曲である。暗闇のなかで淡く儚い光を放つホタルたちが待ち受ける、息を呑むような光景を彩るにあたって、ざわめくようなストリングスと静かな笛の音によるイントロが、胸を締め付けるほどの強烈な郷愁を誘う。続いて奏でられる包容力のある牧歌的な旋律は、ときどき響くコオロギの涼しげな鳴き声や、風鈴を思わせる鈴の音と相まって、どこまでも純粋で素朴な印象を与える。束の間だけでも童心を思い出させてくれる一曲である。

8月最終日ということで紹介してみました。夏も終わりですね。