VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#943 『MIDNIGHT THUNDER BOY』(杉森雅和/ビューティフルジョー/GC)

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クローバースタジオがおくるVFXアクション・ビューティフルジョーより、

杉森雅和作曲、『MIDNIGHT THUNDER BOY』。第5話のステージで流れます。

クローバースタジオのデビュー作にあたる本作。ヒーローと映画が大好きな青年・ジョーは、恋人のシルヴィアと一緒に訪れた映画館で、突如として映画のなかの悪役にシルヴィアをさらわれてしまい、ヒーローに変身できるVウォッチの力を借り、自ら映画の主役となって悪を成敗することになる。アメコミ調の軽快な作風と変身ヒーローものの熱い作風が融合したノリノリな世界観が特徴のライフ制2D横スクロールアクションである。本作独自の要素として、周りの動きを遅くするスロー、自身をアップで映して攻撃を強化するズームなど、映画の演出をモチーフにしたVFXパワーが存在し、これらを活かしつつ、ときにはあえて敵の攻撃を誘発してそれを回避するなど、いかに華麗に立ち回るかが肝要である。魅せプレイに重点を置くゲーム性ゆえに難易度は高めだが、うまく決まったときの爽快感が心地良い仕上がりとなっている。後にPS2に移植された。

本作の音楽を担当するのは上田雅美氏と杉森雅和氏。上田氏は当時クローバースタジオに、杉森氏は当時カプコン(本作の発売元であり、クローバースタジオの親会社)に所属していた作曲家である。このうち上田氏は続編の2でも引き続き作曲している。本作では派手で豪快なノリに見合った疾走感あふれるエレクトロニックな楽曲が揃っていて、通常のBGMはもちろん、ファンファーレや各種ジングルなど映画らしい雰囲気づくりを盛り上げるサウンドも充実している。サウンドトラックについては、2の楽曲とあわせて収録したものが存在する。

第5話「真夜中のカミナリボーイ」の前編ステージで流れるのがこの曲である。後編のボス戦に勝利した暁に、主人公・ジョーは敵にその戦いぶりを称えられて「ビューティフル(Viewtiful)」の肩書を授かることになるため、このステージは物語上の重要な一幕とも言える。夜の市街地を舞台に展開する、マグマが吹き出したり戦車や航空機が襲ってきたりするスリリングなシークエンスを彩るにあたって、全編にわたって激しく刻まれるビートが昂揚感を刺激する。シカゴ・ハウスのようなレイヴ系の音楽に通ずるクールな曲調が印象的で、41秒からピコピコ鳴る独特な電子音を加えるなどして、すでに十分エキサイティングだが、さらに癖になるような遊び心を感じさせる。ヒーローの華麗な活躍を格好良く飾り立てる一曲である。

病みつきになるリズムですね。ボス戦で流れる『BLADE MASTER』もあわせてどうぞ。

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