ナムコがおくるフライトシューティング・エースコンバットより、
小林啓樹作曲、5の『15 Years Ago』。
ラストミッションのイベントをはじめ、重要なムービーシーンで流れます。
エースコンバットシリーズのナンバリング5作目にして、PS2三部作の2作目にあたる本作。15年前に起きたベルカ戦争の禍根が残るオーシア大陸、その最西端にあるサンド島を舞台に、国籍不明機の襲撃により死亡事件が発生、臨時に編成された小隊の一人として、交戦記録に残らない戦争に身を投じることになる。シネマティックで大スケールな空の物語と、それに見合った各要素のボリュームの多さが特徴である。ミッション数が豊富なのはもちろん、ミッション内容、分岐、登場するプレイアブル機体、その他のやり込み要素も充実している。システム面の新要素として、僚機に攻撃や分散といった指示を出せるようになり、戦場を俯瞰して作戦を立てて味方間で連携を取る感覚を追体験することができる。総じてたっぷり手応えのある仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは大久保博氏、小林啓樹氏、中鶴潤一氏、中西哲一氏。当時のナムコ所属の作曲家で、このうち中鶴氏はシリーズには初参加だが、本作以降のシリーズでも作曲に携わっている。前作で築き上げたエレキギターによるロックサウンドとコーラスなどを取り入れたオーケストラサウンドの両方の路線を継承していて、主題歌にアメリカのロックバンド・Puddle of Muddを起用するなど、シリーズ初の意欲的な取り組みも見受けられる。サウンドトラックは主題歌含め4枚組で収録されている。
15年前の惨禍の爪痕が色濃く残る世界にて、いくつかのイベントシーンで流れるのがこの曲である。とりわけ名曲と名高い『The Unsung War』が直後に控えるラストミッションでのシチュエーションは、仲間の無線を通じて語られる新たなる朝の始まりの情景と相まって、鮮烈に記憶に刻まれる。ピアノの音色で奏でられる素朴なメロディーは、優しく付き添うストリングスの伴奏とともに、静かなる闘志を掻き立てる。終戦へと導くための最後の夜間飛行にふさわしい、切なくも勇ましい一曲である。
この曲から『The Unsung War』へと切り替わるところが味噌で、『The Unsung War』単体で聴くより、この曲の後に聴くと相乗効果で美しさに磨きがかかる気がします。いつか個別記事で紹介できたら良いですが、とりあえずここにも載せておきましょう。