キャビアがおくるアクションRPG・ドラッグオンドラグーンより、
あおい吉勇(由宇あおい・松本吉勇)作曲、2の『運命』。
アンヘル戦など、いくつかの重要なボス戦で流れます。
ドラゴンが蔓延る中世ダークファンタジーの世界観のもと、絶望的に血塗られた狂気的なシナリオが魅力のDODシリーズ。第2作目として登場した本作は、前作のAエンド(にすこしだけBエンドを足したもの)の後の物語を描いていて、引き続き周回を前提としたマルチエンディング制となっている。癖のある歪んだ作風は相変わらずだが、鬱やホラー描写がだいぶ緩和されたこと、前作や次作含めシリーズ唯一のハッピーエンドが存在することなど、本作ならではの要素も多く、意欲的な仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはあおい吉勇(由宇あおい氏と松本吉勇氏からなるユニット)氏。一部編曲で前作の音楽を手がけた佐野信義氏も参加しているほか、主題歌は松本良喜氏が作曲し、中島美嘉氏が歌っている。前作ではクラシックをサンプリングし、フレーズを再構築することで、ダンスミュージック風の前衛的なサウンドに仕上げていたが、本作からは雰囲気がすこし変わり、比較的耳馴染みしやすい雄大なオーケストラ楽曲が揃っている。前作とはまた別の方法でDOD特有の狂気を表した出来栄えとなっている。サウンドトラックは主題歌も含めて収録されている。
アンヘル戦、カイム戦、ジズモア戦など、ストーリー上極めて重要なボス戦において流れるのがこの曲である。ピアノを主軸に据えた流麗な協奏曲で、開始早々に一気に階段を駆け下るような音色が印象的である。曲が進むにつれてバイオリンなどの弦楽器やオーボエなどの管楽器が加わることで、何か抗いようのない大きな流れに否応なしに引き込まれるような没入感を生み出す。深く沈み込むように奏でられる重苦しい音色は、恐怖や不安を駆り立てる悲愴感と焦燥感を漂わせつつ、息を呑むほどの美しさをも感じさせる。希望と絶望の間で揺れ動く人の運命を活き活きと表現した一曲である。
よくラフマニノフ的だと言われる曲ですね。私もクラシックのなかではラフマニノフが一番好きです。ピアノコンチェルトやソナタも良いですが、個人的にはヴォカリーズが大好きです。