アクセスゲームズがおくるアクションRPG・ドラッグオンドラグーンより、
帆足圭吾作・編曲、『乱葉／戦場』。一章の一節などで流れます。
癖の強い狂気的な世界観で知られるDODシリーズの3作目として、開発元がキャビアから変わって8年ぶりの新作にあたる本作。初代の物語よりも前、ウタウタイの姉妹たちが紡ぐ歌によって平和を享受する世界を舞台に、ウタウタイの長姉・ゼロは、ある目的のために相棒のドラゴンとともに妹たちを皆殺しにすることになる。陰鬱で救いのない作風はそのままに、エログロ要素がふんだんに盛り込まれるようになり、表現力の奔放さが増した。戦闘面では地上戦のアクション性が強化され、ゲージが溜まれば力を解放するウタウタイモードに突入して有利に立ち回れるようになるなど、スピード感を向上させる新要素が追加されている。カメラワークや操作性の難も見受けられるが、シリーズならではのアクの強さを感じられる意欲作に仕上がっている。
本作の音楽を担当するのは石濱翔氏、岡部啓一氏、佐野電磁氏、高橋邦幸氏、遠山明孝氏、帆足圭吾氏。石濱氏、高橋氏、帆足氏は、岡部氏が代表を務める音楽制作集団・MONACAに所属する作曲家で、DODシリーズには初参戦だが、高橋氏以外は本作以前に同じアクセスゲームズ製かつDODの作風を色濃く受け継いでいるニーアでの作曲経験がある。佐野氏は元キャビア出身で初代から欠かさず携わっている作曲家、遠山氏はフリーランスの作曲家である。本作では壮大なオーケストラと幽玄なボーカル、さらにはボス戦を中心にがらりと曲調を変えてハードロックやヘヴィメタルを取り揃えていて、ウタウタイモード中はその名の通り歌が加わる。サウンドトラックについては、一部未収録のものがあるが、主題歌やウタウタイモード中の音源（対象となる各楽曲の2ループ目から流れる）も含めて収録されている。
一章一節、二章五節、三章五節などの複数のステージで流れるのがこの曲である。きらりと輝くピアノと弦のイントロから始まり、トライアングルやスレイベルと思しき金属音を交えながら、一気に幻想的な昂揚感を生む。ブラスの分厚い低音の上に、水晶のように煌めく高音を散りばめることで、奥行きのある美しさを醸す。45秒あたりからブラスが一旦抜けるが、その間は浮世離れした神秘を漂わせ、再びブラスが加わる1分半頃で重厚な響きを取り戻す。ウタウタイモード中（上記動画の2ループ目／1分58秒以降）は歌声はもちろん、パーカッションが補強され、インスト版において単独で主旋律を務めていたピアノは、その役目をボーカルと分かち合って共に曲を牽引することになる。インストでもボーカルでも、いずれも心奪われるような没入感を誇る一曲である。
一章一節の前に零章があるので、一番最初のステージ曲ではありませんが、それに匹敵するほどの素敵な印象をもたらしてくれる曲ですね。タイトル画面で流れるアカペラ（サントラ未収録）がこの曲のボーカルと共通している点も没入感を高める要因の一つかもしれません。
