VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#969 『Tread Ye the Path of Bravery』(菊田裕樹/ソウルキャリバーV/PS3・X360)

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バンダイナムコがおくる武器対戦格闘ゲームソウルキャリバーより、

菊田裕樹作曲、5の『Tread Ye the Path of Bravery』。

邦題は『しからば義を為すべし』で、吉光のテーマ曲として流れます。

剣戟と軸移動に焦点を当てた格ゲー・ソウルキャリバーシリーズのナンバリング5作目にあたる本作。前作から17年後、霊剣・ソウルキャリバーと邪険・ソウルエッジの戦いは、邪険の破滅によって終止符が打たれるも、その負の遺産として未だ邪険に魂を蝕まれた者たちが跋扈する時代を舞台に、二人の姉弟を軸に再び霊剣と邪険をめぐる歴史の物語が紡がれることになる。醍醐味となる縦斬り・横斬り・8WAY-RUNを残しつつ、クリティカルゲージの導入により、ゲージを消費することで必殺技を繰り出したり技を強化したりジャストガードを決めたりすることができるようになった。コマンドは全体的に簡素化され、キャラも作中の時代の流れを受けてほぼ一新、オンライン対戦向けのバランス調整に秀でている一方で、オフラインのストーリーモードはボリュームが削減された。総じて対戦面に注力した仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは菊田裕樹氏、中鶴潤一氏、三好智己氏、Andrew Aversa氏、Cris Velasco氏、Inon Zur氏。中鶴氏はバンナムに、三好氏は音楽制作会社Creative Intelligence Artsに所属している作曲家で、残りはフリーランスである。本作ではそれまで内製だった音楽が、3曲のみの担当に留まる中鶴氏を除きすべて外注となり、オーケストラの生演奏でグラミー賞受賞者のJohn Kurlander氏らがレコーディングエンジニアを務めるなど、音質へのこだわりを窺わせる。従来のシリーズサウンドと比べて重厚さと壮大さに磨きがかかった楽曲群が揃っている。サウンドトラックはライナーノーツやメイキング映像を載せたDVD付きで収録されていて、例のごとく英語と日本語の曲名が併記されている。

妖刀を手に義賊集団を率いる吉光のテーマ曲として、ステージ「霊峰富士・伏竜殿」で流れるのがこの曲である。吉光は続投キャラだが代替わりしていて、相変わらず奇抜な技の数々で接近戦を得意とする。ステージは滝が流れる洞窟らしき場所で、足場はいかだのようなもので壁はなく、水に落ちたらリングアウトになる。いかにも和風なキャラとステージにあわせて、イントロで突き抜けるような尺八の音色が響き渡り、続いてオーケストラが雅やかに奏でられる。ストリングスやブラスはもちろん、さながらドラムのように周期的に挿入される、厚みのあるコーラスが力強い興を添える。45秒あたりから笛と鼓が主役となって和の風情を存分に漂わせ、サビに回帰する1分半頃で和洋の入り混じる鮮やかな盛り上がりを見せる。和楽器の美しさとオーケストラの華やかさが融合した一曲である。

尺八だと思いますが、能管の線もありそうです。曲名はやや古風な言い回しで、訳すと「汝、勇の道を征け」のような意味ですが、どうも聖典由来の格言が基になっているそうですね。