Alientrapがおくる2Dアクションプラットフォーマー・Apotheonより、
Marios Aristopoulos作曲、『In the Forests of Olympus』。
Forest of Artemisで流れます。
カナダのインディーゲームスタジオ・Alientrapによるメトロイドヴァニア系の横スクロールアクションとして登場した本作。古代ギリシャを舞台に、人間の傲慢さに辟易して地上を見捨てた神々の王・ゼウスに抵抗すべく、若き戦士・ニカンドレオスは各地に眠る神器を集めて神への戦いを挑むことになる。ギリシャ神話をモチーフにした独創的な世界観のもと、壺絵風の神秘的なグラフィックと、青銅器時代ならではの消耗しやすい剣や弓矢を用いた戦闘システムが特徴である。さながら動く絵画のようなゲーム画面と相まって、古代世界の雰囲気を味わい尽くせる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはMarios Aristopoulos氏。ギリシャ出身でロンドン在住の作曲家で、ゲーム音楽以外にも映画や劇、テレビなど、幅広い分野で活躍している。本作では神と人とが激しく争う古代ギリシャの世界を表現するにあたって、壮大なコーラスや血気盛んなパーカッションをフィーチャーした重く厳めしい楽曲が揃っている。サウンドトラックはSteamのDLCやApple Musicをはじめ、各種オンラインストアで配信されている。
Forest of Artemisで流れるのがこの曲である。アルテミスとはギリシャ神話における狩猟の女神のことであり、このエリアでは特定の獣を狩る試練を与えられたり、逆に自分自身が鹿に変身させられたりする（鹿変身時はアップテンポなアレンジ『The Deer』が流れる）が、この曲はそうした刺激的な狩猟体験を美しく彩ってくれる。ハープのまろやかな音色が紡ぐ癒しのリズムは、心が洗われるような穏やかな空気感を生み出しつつ、安心感とは程遠いような不吉な予感をも覚えさせる。ギターや笛などの他の楽器の音が加わろうとも終始暗澹とした曲調を保ち続け、深閑とした森のなかを手探りで探索する独特な緊張感を見事に表現した一曲である。
『The Deer』のほうは特に1分20秒あたりから挿入される木琴の音がいい感じに危機感を煽ってくれて、そちらもおすすめです。あわせてお聴きください。
