DrinkBox Studiosがおくるアクション・Guacamelee!（覆面闘士）より、
Rom Di Prisco作曲、『Forest del Chivo』。同名のステージで流れます。
カナダのインディーゲームスタジオ・DrinkBox Studiosの代表作にあたる本作。メキシコの片田舎に住む青年・フアンは、謎のガイコツの襲撃により幼馴染にして大統領の愛娘をさらわれ、自身も命を落とすが、覆面の守護神・トスターダの加護によりルチャドールとして復活、ガイコツ軍団に立ち向かうことになる。オーソドックスなメトロイドヴァニア型のアクションプラットフォーマー（探索型2Dアクション）で、メキシコ式プロレス・ルチャリブレに焦点を当てた爽快かつ豪快な動きが特徴である。ギミックも豊富で、一度死んだ身という特性を活かして、同じマップ構成でも異なる仕掛けが用意されている生者の世界と死者の世界を行き来しながらステージを攻略していく。メキシカンテイストの作風と相まって、手堅くも独創的な仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはPeter Chapman氏とRomolo "Rom" Di Prisco氏。いずれもカナダ出身の作曲家で、続編でも引き続き担当している。Coinsという別名義でも知られ、主にテレビの劇伴などで活躍するChapman氏は、ゲーム音楽については特にDrinkBox製の作品にはデビュー作のTales from Spaceから携わっている馴染みの作曲家である。対するDi Prisco氏は、90年代後半からゲーム音楽界で活動している作曲家で、DrinkBox製の作品に関わるのは本作が初めてである。本作ではメキシコを舞台にした世界観にあわせて、ギターやトランペットをふんだんに用いたラテン音楽が勢揃いしている。また、生者と死者の世界で、同じ曲の別アレンジがシームレスに切り替わる仕組みとなっている。サウンドトラックはチップチューンアレンジや延長版などのボーナストラックを含めてBandcamp経由で発売されている。
Forest del Chivo、ルチャドールとして覚醒して初めて攻略することになるステージで流れるのがこの曲である。鬱蒼と生い茂る草木が印象的な最初のステージで、ギターとドラムのアンサンブルが紡ぐ軽快なリズムが、好奇心と昂揚感をそそる。木琴やトランペットも加わって、元気よく、それでいて哀愁を帯びながら奏でられる旋律は、心躍るような期待と心憂くような不安とを両方同時に喚起し、アンビバレントなハーモニーを生み出す。死者の世界では全体的に音がくぐもったアレンジ『Forest del Chivo (World of the Dead)』が流れ、不気味なエコーがかかったり電子音が強調されたりして、緊張感あふれる不穏な雰囲気を表現している。
Forestは英語ですが、del Chivoはスペイン語で「山羊の」という意味です。『Forest del Chivo (World of the Dead)』、あわせてどうぞ。
