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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#948 『首都高-螺旋迷宮』(古代祐三/セブンスドラゴン2020-Ⅱ/PSP)

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イメージエポックがおくるRPGセブンスドラゴンより、

古代祐三作曲、2020-2の『首都高-螺旋迷宮』。首都高で流れます。

人と竜の争いを描くセブンスドラゴンシリーズのうち、3作目にして前作の直接の続編にあたる本作。前作の死闘から1年後の2021年を舞台に、再び外宇宙から襲来してきたドラゴンに立ち向かうべく、主人公は竜を狩るための特務機関・ムラクモの精鋭部隊の一員として戦うことになる。シリーズ伝統の自由なキャラメイクとシビアな世界観、そして前作のシナリオとゲーム性を踏襲しつつ、本作では新職業や選択できるキャラの外見が追加されたほか、戦闘面では従来の奥義だけでなくもう一つの切り札として秘奥義が登場した。システムまわりに加えてダンジョンや敵など、前作から引き継がれているものが多く、やや目新しさに欠ける一方で、前作と変わらぬ歯応えが感じられる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは古代祐三氏。株式会社エインシェントの代表で、ナナドラシリーズすべてに携わっている作曲家である。また、前作でみられた初音ミクとのコラボも健在で、主題歌のみならずすべてのBGMを初音ミクが歌うDIVAモードに切り替えられる。楽曲の雰囲気は前作同様、デジタルでシンフォニックなシンセサウンドを中心に取り揃えられていて、前作からの流用曲もすくなくない。サウンドトラックについては、インストVer.をメインに収録したものと、前作とセットでDIVA Ver.を一挙に収録したものがそれぞれ発売されている。

物語終盤に訪れる首都高 湾岸天楼で流れるのがこの曲である。幻影や幻覚などの狂気的な仕掛けの多い禍々しいダンジョンで、首都高といっても道路とは程遠く、上層から下層へと続く螺旋状の構造物と化している。そうしたなか、イントロから澄んだピアノの高音が響き渡り、退廃的で心奪われるような美しさを漂わす。はじめは静謐に包まれているが、シンセやパーカッションを伴ってじりじりと喧騒にまみれていくと、1分36秒あたりでピークを迎えてピアノのフレーズが複雑化し、それに呼応するように騒がしさは身を潜める。が、その当のピアノさえもが2分25秒で霧消すると、今度は電子音が押し寄せ、3分に至る頃にはエレキギターが主役を務めるようになる。楽器は変われどその幻想的な曲調はなおも保たれ、しばらく轟音と神秘が融合した旋律が奏でられた後、最終的には元の静けさに回帰する。激しくも感傷的で、深遠な魅力に満ちた一曲である。

ループすることで再三にわたって音の波に溺れていく感覚が味わえて、すごく素敵ですね。DIVA Ver.(作詞はlasahさん、編曲はmillstonesさん)はピアノを残しつつ、チップチューン+EDM+ボーカルをフィーチャーしたアレンジです。あわせてどうぞ。

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