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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1017 『砂塵きらめく、荒漠の地』(堀諭史/モンスターハンターライズ/NS)

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カプコンがおくるハンティングアクションモンスターハンターより、

堀諭史作曲、ライズの『砂塵きらめく、荒漠の地』。

砂原の大型モンスター戦で流れます。

モンハンシリーズの作品としてスイッチ向けに登場した本作。カムラの里の新米ハンターである主人公は、モンスターが大挙襲来する原因不明の災禍・百竜夜行に立ち向かうことになる。MHP3以来となる和風の世界観とワールド同様のシームレスなフィールドが特徴で、新アクション・翔蟲を駆使することで、移動や攻撃、ときには大型モンスターを糸で搦めて自在に操るなどの縦横無尽な動きができるようになった。新要素の百竜夜行は次々と迫りくるモンスターを迎撃して拠点を守り抜くタワーディフェンス型のクエストで、ソロはもちろん、プレイヤー同士で役割分担しやすいマルチ向きなバランスに調整されている。また、ハンターを背に乗せて高速移動できるオトモガルクが追加されたほか、狩猟の下準備に関わる諸要素が簡素化された。狩りの緊張感と遊びやすさのバランスがうまく釣り合った仕上がりとなっている。後にSteamに移植された。

本作の音楽を担当するのは裏谷玲央氏、大木優拓氏、小倉真奈氏、佐藤奈央氏、茅根美和子氏、堀諭史氏。退社済みで現在フリーランスの裏谷氏を除き、いずれもカプコンに所属している作曲家である。このうち堀氏がリードコンポーザーを務めている。裏谷氏は3以降、茅根氏は4以降シリーズに携わっている馴染みの作曲家だが、他はほぼ新顔(小倉氏はアプリのモンハンライダーズに関わっている)である。本作のサウンドの方向性は、和の意匠を凝らしつつ歌を軸としている。琵琶や龍笛、ほら貝などの和楽器に加え、サズ(中東の撥弦楽器)やダルシマー(打弦楽器)といった特徴的な音が多く取り揃えられている。過去曲のアレンジも健在で、原曲の雰囲気を保ちつつ本作の世界観に最適化した編曲がなされている。サウンドトラックについては、通常版に加えてアップデートの追加曲を収録したExtra Tracksなどが現時点で発売されている。

砂原の大型モンスター戦で流れるのがこの曲である。砂原は荒涼とした砂漠地帯で、泥でハンターを翻弄する新モンスター・オロミドロをはじめとする強敵が登場する。その戦闘を彩るにあたって、厚みのあるストリングスの演奏に高音の笛が寄り添うイントロから始まり、20秒過ぎたあたりで、うねるような弦の旋律とともに女声ボーカルが重なり合う。全編を通してエスニックな色合いが強く、艶めかしい歌声が魔法のような没入感を生む。特に1分14秒からのサビは、オーケストラの力強い響きに歌が纏わりつくことで、ある種の執念を感じさせる独特な味わい深さを醸し出す。勇ましさと美しさと妖しさが融合した旋律で、狩りを気持ちよく盛り上げる一曲である。

サビが心地良くて耳にこびりつくような中毒性がありますね。追跡時はオフボーカルですが、管楽器の派手さが目立つアレンジで結構インパクトがあります。あわせてどうぞ。

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