ナムコがおくるシューティング・ファイナルブラスターより、
富樫則彦作曲、『ROUND 2』。2面で流れます。
主にアーケードで展開してきたボスコニアンシリーズの完結作としてPCエンジン向けに登場した本作。ボスコニアン軍との繰り返される星間戦争に終止符を打つべく、人類の叡智を結集した最新鋭戦闘機・フェニックスが進撃することになる。前々作は全方向、前作(ブラストオフ)は比較的抑えめな難度の縦スクロール、本作も同様に縦だが、前作とも前々作ともまた異なるゲーム性で覚え要素の強いハードな路線を取っている。全7面構成で、初期0~3段階のパワーアップと0~3個のオプションの組み合わせに応じて自機の攻撃陣形が計16通りに変化する点が特徴である。自機の移動速度は4速まで調整可能で、移動速度が遅いほどフェニックスブラスターの発動に要する溜め時間が短くなる仕組みである。フェニックスブラスターは貫通性能のある強力な必殺技で、これでないと倒せない敵もいるため、パターンを理解して最適な陣形、移動速度、必殺技の使いどころを見極めるのが攻略の肝となる。また、各ラウンドクリア時にパワーアップとオプションの取得数およびミス回数によって難易度が上下するランク制が導入されている。全体的に手強く、ミスすると強化段階がリセットされる都合上、リカバリーも容易ではないが、しっかり芯のある仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは富樫則彦氏。スタッフロールではNORIRIN名義でクレジットされている。90年代前後からナムコやバンプレスト系列の作品を多く手がけてきた作曲家で、おそらくこの当時はまだフリーではなく開発会社に勤めていたものと思われる。ブラストオフでは川瀬知香氏と共作だったが、本作では前作アレンジを除き全曲単独で作曲しているようである。勇壮さと凶暴さ、ときに神秘的な一面を覗かせるガツンと来るサウンドが揃っていて、シリーズ最終作を彩るにふさわしい出来栄えを誇る。サウンドトラックについては、バンダイナムコのPCエンジン作品を集めたアルバムのなかに本作が含まれるほか、ブラストオフ他1作とあわせて本作の楽曲を収録したものも存在する。
2面で流れるのがこの曲である。ボスコニアン軍の前線基地である巨大な宇宙母艦を舞台とするステージで、真っ黒な宇宙空間を背に画面いっぱいにメタリックな戦艦が映し出される。冒頭から凄まじく牽引力のある開放的なメロディーラインが印象的で、チロチロと火花を散らすかのように小刻みに奏でられる伴奏がうまくアクセントを添えている。低音域で溶け込むベースも実に粋な仕事ぶりを発揮していて、あまり目立たないながらも3~4秒や7~8秒など各フレーズの区切り、17秒以降で流れが変わるあたりで比較的よく聴き取れる。基本的には終始、喨々たる響きで快走するような勢いがあるが、27~34秒あたりではかすかに哀愁があり、爽快な曲調のなかに決死の思いが滲んでいる。とりわけループ直前の50~51秒でまるでギアを上げるように荒っぽく音階を駆け上がるくだりは格好良さが詰まっている。命を燃やして突き進む覚悟が感じられる一曲である。
これはなんとも溜め息が出るほど格好良いですね。