U.S. Goldがおくるアクション・Strider Returnsより、
作曲者不明(後述)、『タイトルテーマ』(仮称)。タイトル画面で流れます。
上記動画の2:05まで。
カプコンの名作アクション・ストライダー飛竜の許諾を得た続編として、欧米のみ発売で欧州ではナンバリング入りの「Strider II」の題で登場した本作。悪の冥王が地球に報復すべくLexiaという女性を捕虜に取ったことを受け、ストライダーのHinjoが義憤に駆られて戦うことになる。全5面構成の2D横スクロールアクションで、グラフィックやキャラ造形、合成音声による演出等は原作譲りの再現性と存在感がある。攻撃手段は剣とストック制の手裏剣で、剣に関してはオプション画面からSweep(当たり判定が横長)とOriginal(原作同様に三日月のような斬撃を放つ)のいずれかを選択できる。道中には各種パワーアップや自機を防衛するオーブ、スコアアイテムなどが散らばっていて、ジャンプや壁・天井の張り付きといったアクロバティックなアクションを駆使して進めていく。見かけ上はアクロバティックだが、全体的に動作が間延びしていて操作感度が鈍めなところがある。総じてアクションの厳密性や爽快感は及ばないものの、原作に近い見た目を持つ仕上がりとなっている。
本作にはスタッフロールが存在しない都合上、具体的な作曲者は明かされていない。一説には当時セガ所属のXORこと井上忠彦氏が関わっていたとされるが、これは本作のことではなく、セガが開発・発売した原作のメガドライブ移植版を指している可能性が高い。本作の開発下請けであるTiertexにはこの時期を前後してMark Tait氏というイギリス出身の作曲家が在籍していて、やや曖昧で不確かだが本作に関する氏の言及("The same music was used in the Sequel, Strider II. [...] I left before Strider II was even ever mentioned" など、本作の企画前には同社を離れていたが、過去に制作した曲が本作に使用された旨を説明している)がある。本作では原作譲りの威厳を備えた味のあるサウンドが揃っていて、ドラムの重さや合成音声を取り入れた大胆さが目立つ。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
タイトル画面で流れるのがこの曲である。星が輝く黒い背景にタイトルロゴが現れ、二本の剣が突き刺さる演出があり、簡素ながらもゲーム開始の期待感を募らせてくれる。それにあわせてこの曲は手始めにじっくりたっぷり焦らし、11秒頃から次第に勢いを帯びてよく通る音色を奏でる。19秒からドラムや鉄琴のような音色を交えて独自のリズム感を生み、さらに27秒から連続で細切れの音色を鳴らし始めると、後を追うように "Strider" と渋く本物らしい合成音声が加わる。その後しばらく高らかに盛り上がっていって47秒の爆発の効果音を境に、ドラムと鉄琴に焦点を当てて小気味良い間奏を披露すると、まもなく1ループを終えて冒頭から再始動する。味のある曲調できっちり起承転結を設けつつ、これから戦いに赴く昂揚感を高めてくれる一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。合成音声も格好良いですし、盛り上がったところでタイミングよく爆発!というくだりがなんとも絶妙な嵌まり具合ですね。