サクセスがおくる横スクロールアクション・うチューしんしゅチューより、
荒川憲一作曲、『ステージ グリーゼ』。グリーゼで流れます。
スイッチのダウンロード専用タイトルとして配信された本作。20XX年、宇宙人からの侵略で絶滅の危機に瀕した人類は、最後にして最大の武器・チューをする少女にすべてを託すことになる。25面×2周+最終ボスの計51ステージから成る2Dアクションで、自機のサタデーちゃんは敵の宇宙人に接近してチューすることで仲間に引き入れることができる。チューはいわば超近距離型の必殺技であり、リーチが短く当たり判定が狭いため、チューするつもりで誤って敵に触れれば一撃死に至る。攻撃手段はチューするか、仲間にした宇宙人を投げるか(投げ当てると相手が気絶してチューする隙が生まれる)しかなく、ステージクリア条件はすべての敵を仲間にする、ボス戦の場合は一定回数チューを決めることなので、残機無限とはいえシビアなところがある。とことんハッピーな世界観や作風に、そうしたゲームプレイのシビアさが絡み合うことで、全体的に絶妙なレトロ感が漂っている。総じて丸みを帯びつつも尖ったコンセプトが活きた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは荒川憲一氏。サクセスに所属する作曲家である。90年代初期から長くゲーム音楽に携わっているベテランで、本作以前にも女性主人公×ハチャメチャ系の作品としてゲーム天国やコットンシリーズを手がけた経験がある。本作はアクションだが設定的にシューティングに通ずる雰囲気があり、楽曲の方向性はシューティングチックにまとめられている。輝かしい疾走感のあるチップチューンと、スペースオペラっぽさのある合成音声の混声コーラスを巧みに組み合わせた珠玉のサウンドが揃っている。サウンドトラックには各楽曲の8bitアレンジも含めて収録されている。
グリーゼで流れるのがこの曲である。5つある惑星のうちの4つめ、16~19面に該当するステージ群である。さながら薄明の空のような綺麗なグラデーションに赤色矮星が浮かび、ところどころ液体の水がみられる幻想的な光景が特徴的である。後半から終盤に差しかかる場面を彩るにあたって、イントロから盛り上がりを確信させる痛快な音色を披露する。6秒から入る旋律は期待を裏切らない心地良さと格好良さがあり、19秒にはさらにコーラスを上乗せすることではっと目が醒めるような瑞々しさを感じさせる。メインメロディーの気持ち良さはさることながら、フレーズ終わりの電子音の鳴らし方や、伴奏のクールな響き、ノリと厚みを兼ね備えたドラムなど、気持ち良さを促進する工夫が細部まで行き届いている。特に46秒から伸びていくメロディーが印象深く、クライマックスに向けてとびきり清々しい高音を紡いで鮮やかに締める。愛と正義のチューで人類を救うシチュエーションにふさわしい一曲である。
なんかエナジードリンクみたいに速攻で元気注入できる曲ですね。『ステージ グリーゼ (8Bit ver.)』も聴いていると心がくすぐられる感じがすごくて好きです。最初の惑星の『ステージ ツキ』も曲を通じて万能感をたっぷり味わえておすすめです。あわせてどうぞ。