パーティが2人以下のときのフィールドで流れます。
国産RPGの金字塔であるドラクエシリーズのナンバリング2作目にあたる本作。前作から100年後、ロトの末裔が治める三つの国が平和を享受していたところ、邪教の大神官ハーゴン率いる勢力が襲いかかり、ローレシアの王子である主人公が他二人の末裔とともに脅威に立ち向かうことになる。前作の世界観や作風を踏襲しつつ、パーティ制の導入、マップの拡張、船による移動、装備コマンドの追加など、シリーズの当たり前を形作る定番要素の多くが本作で初登場した。一人旅で一対一に徹していた前作とは異なり、本作では敵も味方も複数人体制になり、仲間と冒険する醍醐味、共闘する戦略性の広がりが感じられるようになった。全体的にゲームバランスが手厳しいほか、マップの拡大に伴って謎解きや探索要素が強まり、ヒントは限られているものの手探りで試行錯誤する地道な楽しさが凝縮されている。総じて以降のシリーズの基礎を確立した画期的な仕上がりとなっている。後にマイコンに移植されたほか、前作とセットでスーファミやゲームボーイに登場し、また単体でスマホやPS4、スイッチなどにも配信された。
本作の音楽を担当するのは故・すぎやまこういち氏。ドラクエシリーズではおなじみの作曲家である。前作に引き続き作曲をするなかでも、本作では曲数が増えてより場面ごとの表現力が強まった。また、前作では容量や効果音との兼ね合いなど諸々の制約により2トラックで済ませている曲が大半を占めたが、本作では幅を持たせてメリハリや厚みをつけている。また、パスワード画面の曲がアイドルとのタイアップであるなど、従来のクラシカルな曲調だけでなく、ポップス系のキャッチーなサウンドも取り揃えている。サウンドトラックについては前作とセットで各種交響楽団の演奏を収録したもののほか、シリーズ楽曲を音源違いの機種別に集めた大全集が存在する。
パーティが2人以下のときのフィールドで流れるのがこの曲である。寂しげだかとても力強く魅せてくれるメロディーが印象的で、瞬時に耳馴染みする聴き心地の良さがある。8~11秒で長く引き伸ばしつつ低音の伴奏で弾みをつけると、続いて12秒から主旋律の傍を自在に這うように歯切れの良い副旋律が奏でられる。短い間隔で音程を変えることで、フィールド曲らしいリズミカルなノリを形作るとともに、音数そのものがすくないなかでも響きに奥行きを持たせている。徐々に曲全体が高音域に向かっていくと、やがて28秒で違和感なく繋がって早くもループに至る。いつまでも色褪せることなく旅のモチベーションを与えてくれる一曲である。
音源違いもオケアレンジもいろいろあるのですが、個人的に好きなアレンジを一つ挙げるとすればN響の弦楽四重奏の『遥かなる旅路~広野を行く~果てしなき世界』メドレーですね。選曲の豪華さの期待を裏切らない逸品です。あわせてどうぞ。