ディースリーパブリッシャーがおくる3Dアクションシューティング・地球防衛軍より、
福田淳作曲、6の『The Balance of Time』。最終ミッションで流れます。
異星生命体と熾烈な攻防を繰り広げる地球防衛軍シリーズのナンバリング6作目にあたる本作。前作から3年後、辛くも侵略者の親玉を退けたが人口が一割にまで減少して困難な復興を続けるなか、未だ増え続ける侵略生物たちの脅威に対抗すべく、全地球防衛機構軍・EDFの兵士にして人知れぬ英雄であるストーム1が再び戦地を巡ることになる。前作から地続きの世界を描いた直接の続編で、全147ミッションから成る壮大で叙事詩的なストーリーが特徴である。前作を巧みに絡めたシナリオ設計、新旧キャラの見せ場などが印象的で、物語の性質上、繰り返しが多いが、その分カタルシスもひとしおである。荒廃した街並み、おぞましい異星生命体、細部までこだわり抜かれたメカデザインをはじめ、一部のグラフィックに的を絞って注力していて、ダメージ表記や台詞の字幕オンオフ、カメラタイプの切替など視覚的な補足要素が充実している。システム面では兵科共通アクションのよじ登りの導入、新たな装備枠の登場を中心に、敵味方の挙動や種類の追加、各種バランスの調整など様々な変化がある。総じて野心的でやり応えのある仕上がりとなっている。後にPCに移植された。
本作の音楽を担当するのは高田雅史氏と福田淳氏。いずれも地球防衛軍シリーズではおなじみのフリーランスの作曲家である。高田氏は初代から、福田氏は3から作曲に携わっている。例によって高田氏がミッション曲を中心に、福田氏がメニューや一部の重要なシーンを中心に担当している。本作では大がかりなシナリオ設計に合わせてメニュー曲が複数用意されているほか、過去作のアレンジを効果的に取り入れるなどしてシチュエーションにシンクロしたサウンドを生み出している。シンフォニック系を軸にベースや鉄琴、不気味なクワイアなどを巧みに散りばめて引き締まった雰囲気を漂わせている。。サウンドトラックについては、シリーズ20周年記念として歴代楽曲をまとめたサウンドコレクションに本作の楽曲が収録されている。
最終ミッション「刻の天秤」のミッション選択画面と、ミッション終盤のイベント後に流れるのがこの曲である。手始めに勢いよくブラスでファンファーレのようなイントロを鳴らし、ストリングスも一緒くたになって鮮やかで晴れやかな協奏を披露する。が、26秒からはゆったりめでしみじみと感傷に耽るようなメロディーを奏でる。50秒あたりで一度ブラスを挟んだあと、エレキギターで似通ったフレーズをなぞるが、その音色は相変わらず感傷的ながらもガツンと響く力強さを内包している。1分23秒から再びブラスが隆盛を極めたと思うと、また1分49秒から新たな展開に繋がり、二転三転しながらも確かに前進を続けている。2分15秒からのベースには渋さと格好良さが滲んでいて、2分40秒に再度ブラスにバトンを託すまでじわじわと盛り上げていく。ブラスがこれまで以上に強烈にヒロイックに鳴り渡ったあと、3分過ぎからは急に不穏めいた曲調へと変わる。これは本作のメニュー曲を辿る構成で、曲のなかで旅路を振り返っているかのようである。やがて4分52秒頃でブラスとエレキギターが重なり合って共に主旋律を担うようになり、5分4~9秒には凄まじく達成感のあるフレーズで締め括る。何度も人知れず抗い続け、時を背負った人類の代表者とその傍らで支えた者の偉大な活躍を彩るにふさわしい一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。この曲は作中で流れるタイミングがバッチリですね。