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#1727 『FUSE MAN STAGE』(鈴木まり香/ロックマン11 運命の歯車!!/NS・PS4・XOne・PC)

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カプコンがおくるアクション・ロックマンより、

鈴木まり香作曲、11の『FUSE MAN STAGE』。ヒューズマンステージで流れます。

ロックマン30周年記念として本流シリーズの久々のナンバリングとして登場した本作。若き日のDr.ワイリーが考案するも、その危険性ゆえに当時学友だったライト博士の猛反対により研究凍結されたダブルギアシステムが、今になって完成・悪用されていることを受け、ワイリーの野望を止めるべくロックマン自身もダブルギアを搭載して立ち向かうことになる。レトロスタイルに徹していた前作までから一転、往年の面影と2Dのゲーム性を残しつつ3Dグラフィックを取り入れたデザインに刷新されている。4段階の難易度のもとで選択ステージ8面+歯車城ステージ4面、全12面構成を進めるメインモードに加え、タイムアタックや攻撃・ジャンプの最小手数など様々なルールで競うチャンレジモードが収録されている。本作の最大の特徴は物語の根幹にも関わるダブルギアで、一定時間能力を向上させるパワーギアとスピードギアについて、自動回復するゲージ制でオーバーヒートしないよう見定めつつ使い分けるのが攻略の肝となる。前者は各種武器や攻撃力が大きく強化され、後者は周囲を低速化して相対的に自機の動きが速まり、いずれも初期から使用可能な優れものである。ただし自機のみならずボスも使ってくるため、一筋縄ではいかない攻防を楽しめる。このほか、各ボスを撃破すると新武装が手に入る仕組みは従来通り受け継がれている。総じてシリーズのリブート作として歯応えと小気味良さが噛み合った力作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは鈴木まり香氏。カプコンに所属する作曲家である。ロックマンシリーズには本作以前には流星のロックマン2での作曲経験があるのみで10年以上関わっていなかったようだが、本作では単独で作曲を手がけている。グラフィックの刷新に伴って前作までのファミコン風音源から変わって現代的なエレクトロニックサウンドを多く取り揃えている。スピードギア発動中はBGMがスロー化する仕様があり、全体的に曲そのものの存在感を強調するよりもバッググラウンドの演出として機能している印象がある。サウンドトラックにはイメージソングやゲストアレンジャーによるボーナストラック、短いジングルなども含めて収録されている。

ヒューズマンステージで流れるのがこの曲である。ヒューズマンは頭部にヒューズが付いた電気設備用管理ロボットで、生真面目でピリピリした性格の持ち主である。高圧電流と電光石火の如き機動力を持つ彼が待ち受けるステージは、やはり電気系のギミックが多い工場を舞台としていて、開始直後は雷鳴轟く悪天候のなかを進み、まもなく工場内部へ突入する。そうしたなか、冒頭からスパークするようなキャッチーでダイナミックなシンセイントロが奏でられ、瞬時に神経を昂らせてくれる。しばらく派手に音色を鳴らし続けるが、やがて24秒から派手さのなかに神秘的な音階を交えるようになり、さらに35秒からはスピーディーでありながらかすかに泣きメロっぽさのある旋律を紡いでいく。非常に芯が強く研ぎ澄まされた響きに満ちた一曲である。

サントラの寺山善也さんによる静かな立ち上がりからの壮大な管弦楽アレンジがなかなか魅力的で、印象がガラッと変わりますがメロディーの良さが活かされています。あわせてどうぞ。

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