VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1857 『ウルール浮遊島』(山﨑良/聖剣伝説 VISIONS of MANA/PS4・PS5・XX|S)

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スクエニがおくるアクションRPG・聖剣伝説より、

山﨑良作曲、VOMの『ウルール浮遊島』。同名のフィールドで流れます。

聖剣伝説シリーズの実質的なナンバリング5作目にあたる本作。マナの樹に御子が魂を捧げることで循環が保たれる世界を舞台に、火の村に住む主人公の少年・ヴァルは、幼馴染の少女・ヒナが御子に選ばれ、自身も魂の守り人となって付き添いの旅に出るうち、やがて数奇な運命に巻き込まれることになる。シリーズならではの温かみと哀愁のある世界観はそのままに、全体的なグラフィック表現に磨きがかかっていて、粘土細工風の可愛らしくよく動くキャラと、絵本のなかを探索するようなファンタジックなセミオープンフィールドが楽しめる。戦闘は最大3人まで編成可能で、精霊の力を宿した8種の精霊器を装備することで対応したクラスに変化し、キャラごとに特色のある戦い方ができる。フィールド上でも精霊器を使ってギミックを作動させる要素があり、特定の地点のみで発動する形で自由には使えないものの、精霊の力を借りて広大な世界を旅する感覚が味わえる。シナリオやキャラの行動理念はふんわりした人形芝居のようなきらいがあるが、和気藹々とした道中会話やキャラのモーション、衣装など細部まで充実している。総じてシリーズ特有の雰囲気の良さを継承した仕上がりとなっている。後に一日遅れでSteamにも配信された。

本作の音楽を担当するのは菊田裕樹氏、関戸剛氏、山﨑良氏。編曲には上記三名に加えて高山淳氏、山岡広司氏(1曲のみ作曲もおこなっている)、宮野幸子氏が参加している。菊田氏はかつて、関戸氏は発売直前まで、山﨑氏は現在もスクエニに所属している作曲家で、聖剣伝説シリーズではおなじみのメンバーである。山岡氏や宮野氏も最近のリメイク(SECRET of MANA、TRIALS of MANA)に引き続き編曲を手がけている。本作ではアコースティックや民族風、オーケストラ系など世界観に合致したサウンドが揃っていて、特にリュートやハープなどの上品ですこし切ない音色がよく映える。作中の風光明媚な景観や物語の展開に沿うように100曲以上のバラエティ豊かな楽曲が用意されているほか、探索中と戦闘中など状況に合わせて音楽がインタラクティブに変化する仕組みが搭載されている。サウンドトラックは5枚組で収録されている。

ウルール浮遊島で流れるのがこの曲である。物語後半に訪れる空に浮かぶ島で、多少の遺跡はあるもののほぼ手つかずの自然で、空と虹と緑と美しい水場が印象的である。ゲームクリア前は進めないところがあり、クリア後の裏ボスが待ち受ける場所でもある。出だしからシャラシャラと鳴るブズーキのような音色に木琴がリズミカルに絡み合い、5秒から透き通る笛の音が加わって昂揚感をそそる。笛の響きには独特な深みがあり、高音の聴き応えはもちろんのこと、21秒頃からの中低音域の演奏も非常にじんわり染みる。42秒から一旦オーケストラの間奏を交えたあと、52秒で再び笛が始まるときにはさりげなくトライアングルの金属音を取り入れて煌びやかな印象を添える。1分23秒には笛の主旋律の裏で伴奏としてストリングスが冴えた高音を披露し、1分34秒以降はストリングスを短く鳴らすフレーズを繰り返して冒険心をくすぐる。やがて2分4秒でゆったりと収束に向かうが、2分15秒でブズーキが加わるのとともに元の調子に戻る。2分35秒以降は戦闘中に流れるバリエーションで、パーカッション部分を強調して士気を高めてくれる。胸に迫る昂揚感がある一曲である。

このゲームにはこういうのを求めているんだという思いにしっかり応えてくれる曲ですね。