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#375 『戦場 己が信念を杖に』(古代祐三/世界樹の迷宮IV 伝承の巨神/3DS)

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アトラスがおくる3DダンジョンRPG世界樹の迷宮より、

古代祐三作曲、4の『戦場 己が信念を杖に』。物語後半の通常戦闘で流れます。

パーティを自分好みに自由に編成できる無限大のキャラメイク、空白の地図を一から描き上げる手動のマッピングシステム、RPGならではの探索・戦闘・育成の三要素が特徴の世界樹の迷宮シリーズのナンバリング4作目にあたる本作。最果ての街・タルシスを拠点に、楽園の伝承が残る前人未踏の世界樹を目指して冒険者たちが旅立つことにいなる。DSから3DSへとハードを移し、グラフィックやシステム面が順当に進化した。新たな難易度設定としてカジュアルモードが導入されたことで、初心者への間口が広がったほか、サブクラスの仕様変更や小迷宮という寄り道ダンジョンが登場した。様々な工夫が凝らされた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは古代祐三氏。世界樹の迷宮シリーズおなじみの作曲家で、1作目から最新作に至るまで、外伝含めすべての作品に携わっている。本作以前のシリーズ作品では、レトロゲームを意識したFM音源を用いていたが、本作からは3DSの特性を活かした生演奏が取り入れられることになった。オリジナルサウンドトラックはもちろんのこと、上倉紀行氏や米光亮氏といった作曲家たちが一堂に会して人気曲を編曲したスーパー・アレンジ・バージョンも発売されている。

物語後半、第4迷宮以降の通常戦闘で流れるのがこの曲である。それまでの『戦場 疾風』と比べて、どちらもエレキギター・ストリングス・ブラスの組み合わせで構成されていて、曲調もよく似ている。その一方で、限界を突き抜けるような高音が目立つ『疾風』と比較して、重厚さに重きを置いた一味違う緊張感を漂わせている。37秒あたりからギターが奏でる旋律を、58秒あたりから今度はストリングスが反復することで、メロディーラインの秀逸さを強調する。そこから畳みかけるように収束してループへと突入するさまは、清々しいほどオーソドックスな格好良さを誇る。後半の通常戦闘曲らしい力強い気概に満ちた一曲である。

『戦場 疾風』と米光さんのアレンジ版『己が信念~』、君は聴き比べてもいいし、しなくても……いえ、ぜひお聴きください。

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