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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を一日一曲を目安に紹介します。

#623 『RAINY』(重松俊一/トワイライトシンドローム 探索編・究明編/PS)

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ヒューマンが手がけるホラーアドベンチャートワイライトシンドロームより、

重松俊一作曲、『RAINY』。

エピローグなどで流れる、探索編の「音楽室のM.F」のテーマ曲のアレンジ。

探索編と究明編の前後編で発売された本作。1996年(本作の発売年でもある)の夏、古き良き面影を残す雛城町を舞台に、ユカリ、チサト、ミカの三人の女子高生が、不穏な噂の真相を突き止めるべく、町内や学校の旧校舎にある心霊スポットを巡っていく。普段は冷めているけれど本当は繊細なユカリ、その親友で霊感が強いチサト、年下でトラブルメーカーのミカ、それぞれ特殊な能力を持たぬがゆえに等身大に描かれる会話や心情描写と、現実味のある世界観が特徴で、選択次第で大吉、中吉、凶の三種類の結末(致命的なものであれば死亡エンドも)へと分岐する。夕闇の世界が醸すホラーとノスタルジーを見事に融合させた手堅い仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは重松俊一氏と萩尾雅彦氏。当時ヒューマンに所属していた作曲家たちである。本作以降もシリーズは展開するが、両名が作曲に携わっているのはこの探索編と究明編のみである。まだ昭和の残り香が漂う一夏の物語を彩るにあたり、本作ではしっとり落ち着いた曲から、ホラーゲームらしく恐怖を煽る曲、すこしレトロな響きを帯びたカラオケ曲まで、印象的な楽曲がすくなくない。音楽が物語に直接関わる例もあり、臨場感たっぷりに恐怖体験を盛り上げてくれる。サウンドトラックは発売されていないが、応募したら必ず当たる特典CDのThe Memorizeに、オープニングムービーコレクションや声優のインタビュー、スタジオ収録風景などとともに、一部の楽曲のミュージックビデオクリップが収録されている。

作中でその存在が語られるプロセルピナというバンドの楽曲として、探索編の第二の噂「音楽室のM.F」におけるテーマ曲の立ち位置にあるのがこの曲である。音楽室で聴けるのはピアノ独奏だが、物語終了後のエピローグなどではピアノの他にカラコロと鳴る金属音や重厚なコーラスとともに流れ出し、その流麗な旋律は長雨のように途絶えることなく奏でられ続ける。幾重にも複雑に絡み合う登場人物同士の思惑が、抑え難いほどの切なさを滲ませるこの曲を通じて、取り返しのつかない出来事を経て、やがて一つに収束していくかのように感じられ、悲痛さのなかに人を想う優しさと思いやりが見え隠れしている。

胸にじんとくるような情緒的なエピソードと相まって、すごく好きな曲です。ピアノ独奏版もあわせてどうぞ。

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