IPPOこと竹内出穂作曲、時の後継者の『Oath of Love』。結婚式で流れます。
ファンタシースターシリーズのうち、ナンバリング3作目でありながら毛色の異なる外伝的な作品として登場した本作。超科学文明が滅んでから千年後を舞台に、当時活躍した伝説の勇者の血を引く王子ケインは、結婚式の日に魔物にさらわれてしまった花嫁を取り戻すべく旅立つことになる。結婚システムによる親子三代にわたるマルチシナリオが特徴で、一世代目と二世代目でどのヒロインを選択するかで物語や主人公が大きく変わってくる。シリーズ特有のSF要素もあるが、かなりファンタジー色が強く、グラフィックも今までのアニメタッチなものから油絵風のリアル志向に変更されるなど、独自路線を征く意欲作に仕上がっている。
本作の音楽を担当するのはIPPOこと竹内（現姓は沼田）出穂氏。当時セガに所属していた作曲家で、前作、前々作を担当したBOこと上保徳彦氏に代わり、ファンタシースターシリーズには本作が初参加となる。また、続く4作目の千年紀の終りにでも作曲している。本作では戦闘シーンでは通常、優勢、劣勢で異なる楽曲に切り替わったり、フィールドではパーティの人数に応じてソロからクインテットまで徐々に楽器が追加されたりするなど、音楽面における先駆的な試みが多くみられる。サウンドトラックは1～3作目の楽曲を収録したサウンドコレクションや、1～4のいわゆるアルゴル太陽系シリーズの楽曲を収録したファーストシリーズコンプリートアルバムなどが存在する。
物語の発端となる最初のイベントをはじめ、結婚式のシーンで流れるのがこの曲である。どの花嫁をめとるかでストーリーが分岐するため、まさに人生の大きな選択のときと言えるが、この曲はそうした場面に似つかわしい荘厳で華美な旋律が印象的である。メタリックな質感を帯びたチャーチオルガンや鐘の音が伸び伸びと響き渡ることで、短くシンプルなメロディーラインでありながらもいつまでも耳に残るような余韻を残し、とこしえの愛を誓う新郎新婦の晴れ姿を華やかに祝福する。本作の最大の目玉である結婚システムを象徴する一曲である。
豪華な生演奏のオーケストラでアレンジして実際に現実の結婚式で流れるところを見てみたいものです。最初のイベントでは花嫁が誘拐されて一転してがらりと曲が変わるのですが、あの絶望的な悲愴感がなかなか良い味を出しています。誘拐イベントの『Wing of Evil』もあわせてどうぞ。
