セガがおくるガンシューティング・THE HOUSE OF THE DEADより、
河内哲也作曲、『Theme of the Magician』。マジシャン戦で流れます。
アーケード用ガンシューティングの代表作として1997年に稼働開始した本作。ゾンビものとガンシューティング、ホラーとSFを融合させた特異な世界観が特徴で、ゾンビたちによる間断なき襲撃を掻い潜りながら、すべての元凶たるマッドサイエンティストの野望を食い止めることになる。非常にリアリスティックかつグロテスクに描き込まれたセンスあふれるビジュアルに加え、血しぶきや部位欠損や惨殺死体など、かなり強めのゴア表現を採用していて、臨場感たっぷりに身の毛がよだつような恐怖を味わえる。また、多種多様なルート分岐が用意されていて、プレイヤーの行動次第でステージやボスが変化するほか、戦績に応じてエンディングが三種類に分かれるなど、一度のプレイでは遊び尽くせないほどの充実ぶりとなっている。後にセガサターンやPCにも移植された。
本作の音楽を担当するのは河内哲也氏。当時セガの第1AM研究開発部に所属していた作曲家で、特にアーケード向けの作品を中心に作曲していた。本作では氏が効果音含めすべてのサウンドを一手に引き受けていて、ホラーゲームらしく緊張感を煽りつつも、ただおどろおどろしいだけに留まらぬ魅力を持つHODシリーズサウンドの礎を築き上げた。なかには派手なテクノ調の楽曲も収録されていて、一方的に恐怖に打ちひしがれるのではなく、立ち向かって戦う勇気を与えてくれるようなサウンドが揃っている。サウンドトラックは本作単体では発売されていないが、一部の楽曲は後のシリーズ作でアレンジされるなどして、曲名が明かされている。
続編の2や外伝の4SPなど、マジシャンが復活するたびにアレンジされ続けている本作の代表曲がこの曲である。本作のラスボスであるマジシャンは、人類を凌駕する存在としてつくられた最高傑作の生命体であり、醜悪な見た目の敵が多いなかで、カリスマ的な格好良さを誇る容貌の持ち主である。常に空中に浮遊し、直立不動の姿勢のまま高速移動をするさまは、まさにラスボスとして申し分のない威圧感を放っていて、悲愴感あふれるメロディーラインは、その印象をさらにいっそう裏付ける。熱くしたたるようなスピーディーな音使いは、大胆不敵で勇猛果敢な迫力に満ちていて、手に汗握るマジシャンとの激闘を鮮やかに彩ってくれる。ホラー特有の焦燥感と、シューティング特有の爽快感が見事に調和した一曲である。
アレンジはいろいろあるので聴き比べるのも一興です。参考までに、下記動画は 原曲→(01:27~)初代/SS→(02:55~)2/AC→(04:25~)ピンボール/GBA→(06:02~)タイピング/AC→(07:30~)4SP/AC の順で流れます。変化が大きいのはピンボールと4SPですかね。