5pb.がおくる想定科学ADV・STEINS;GATEより、
阿保剛作曲、『GATE OF STEINER -Main Theme-』。タイトル画面で流れます。
CHAOS;HEADに続く5pb.の科学アドベンチャーシリーズの第2弾にあたる本作。秋葉原を拠点に未来ガジェット研究所なるサークルを運営する自称マッドサイエンティスト・鳳凰院凶真こと重度厨二病患者の大学生・岡部倫太郎は、偶然にも過去に携帯メールを送信できる電子レンジを発明したことをきっかけに、やがて人類の命運をも揺るがす巨大な陰謀の渦に巻き込まれることになる。タイムトラベルというSFの古典的テーマと、サブカルチャー色の強い舞台設定や個性的なキャラクターが特徴で、脳科学や都市伝説といった様々な要素を取り入れている。特筆すべきはシナリオの緻密さで、いたるところに張り巡らされた伏線を鮮やかに回収していくドラマチックな構成をとっている。非常に濃厚で遊び応えのある仕上がりとなっている。後にPS各機やスイッチ、PC、アプリなどにも移植された。
本作の音楽を担当するのは阿保剛氏。5pb.（現MAGES.）に所属する作曲家である。主題歌や挿入歌などのボーカル曲に関しては、志倉千代丸氏や林達志氏らが手がけている（歌はもっぱらいとうかなこ氏による）。阿保氏は本作以前にも同じく科学ADVシリーズとしてCHAOS;HEADを担当しているほか、本作のスピンオフや続編なども引き続き担当している。暗鬱ながらも高度に洗練された作風にあわせて、本作ではシリアス調の楽曲を中心にメリハリ豊かなサウンドが揃っている。サウンドトラックはラジオ番組で放送された内容の音源も含め、3枚組で発売されている。
タイトル画面や各種重要なイベントシーンで流れるのがこの曲である。副題が示す通り、この曲は本作のメインテーマという立ち位置にあるが、全体を貫くダークな曲調が、物語の壮大さを直感させるような凄みに満ちている。ピアノが映える悲劇的なイントロで始まり、26秒頃からメインフレーズに突入すると、繊細で切なくて、それでいて使命感を滲ませた旋律を奏でる。50秒過ぎのサビではストリングスを主軸に据え、その悲壮な音色がいっそう引き込まれるような底なしの没入感を生み出す。その様子は、大きすぎる陰謀を前に、幾度となく繰り返される惨劇に立ち向かうかのごとく、ただ一つ答えを求めて奮闘する姿を彷彿させる。2分頃で再始動すると、前と比べてより鮮やかな勢いに満ちていて、工夫を凝らして何度も曲を盛り上げてくれる。哀しみを帯びつつ、それでも前へ進む力強い決意を感じさせる一曲である。
ピアノアレンジもあれば、アップテンポなポップアレンジもあり、さらにはボーカルアレンジまであって、それだけこの曲にシュタゲのすべてが詰まっているのでしょうね。
