5pb.がおくる美少女対戦格闘ゲーム・ファントムブレイカーより、
阿保剛作曲、『幻影に敗れし者たち』。メニュー画面で流れます。
美少女ゲームで知られる5pb.のオリジナル格闘ゲームとして登場した本作。東京を舞台に、優勝すればどんな願いでも叶うという大会・ファントムデュエルを巡り、選ばれしデュエリストたちが戦うことになる。基本操作は十字キーに弱・中・強・SPのボタン四つというシンプルな構成で、簡単に爽快な必殺技を出せる仕組みとなっている。キャラ選択時に機動性重視のQUICKスタイルか攻撃力重視のHARDスタイルを決める仕組みで、操作に関しては、手軽だが連続攻撃から逃れるエマージェンシーモード、スタイルごとに効果が異なる最終奥義など、多彩な立ち回りが用意されている。CHAOS;HEADの咲畑梨深およびSTEINS;GATEの牧瀬紅莉栖といったゲスト参戦なども相まって、美少女ものらしい作風をフィーチャーした仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは阿保剛氏。5pb.に所属する作曲家で、前述のカオヘやシュタゲなどの科学アドベンチャーシリーズでも作曲経験がある。本作では対戦を盛り上げる激しい曲調のものが多く揃えられていて、スタイリッシュなシンセサウンドを中心に、テクノ、ポップ、和風など、キャラの特徴に沿ったテーマ曲があてがわれている（紅莉栖のテーマ曲のようにシュタゲのアレンジもある）。また、ストーリーモード用のイベント曲についても、穏やかなもの、悲しげなものなど、一通り充実している。サウンドトラックは初回限定盤に付属されている。
MAIN MENUで流れるのがこの曲である。モードをセレクトすることで、ある者は大切な人の病を治すため、ある者は復讐のため、陰謀渦巻く戦いの舞台に身を投じることになるが、そうした開幕前の張り詰めた空気感を表現するにあたって、ピアノとシンセのシリアスなアンサンブルが神秘的に鳴り渡る。30秒手前になると、主旋律はストリングスに代わり、その裏で壮大なコーラスが響いて、落ち着いた曲調ながらも幻想的な盛り上がりを見せる。43秒頃には早くも1ループが終結するが、その後も繰り返せば繰り返すほど奥深さが増していくような、引き込まれるような没入感を生み出し続ける。願いを叶えるための戦い、その幕開けに向けて儚くも美しいテンションを整える一曲である。
願いを叶えるといっても綺麗事だけでは済まない、みたいな、ミステリアスでメランコリックな感覚がよく伝わってきますね。
