SNKがおくる対戦格闘ゲーム・KOFより、SHA-V(麻中秀樹)作曲、99の『Tears』。
草薙京のテーマ曲として、隠しボス戦で流れます。
SNKの人気キャラが集うKOFシリーズのうち、6作目として登場した本作。前作までのオロチ編から一転、秘密結社ネスツの陰謀渦巻く新たな大会が開幕することになる。主人公の交代、3人制だった対戦形態に援護専用の4人目を参戦させるストライカーマッチの導入、スーパーアーマーやスーパーキャンセルを可能とするアーマーモードとカウンターモードの追加など、システム面が大きく変化している点が特徴である。また、クローンや人体実験といったSF的な要素が強く、従来の作風とは異なる路線を征く意欲作に仕上がっている。後にネオジオやネオジオCD、PS、ドリームキャストなど、多数の機種に移植された。
本作の音楽を担当するのはHORI-HORI(堀内正人)氏、MARIMO氏、SHA-V(麻中秀樹)氏、SHIMIZM(清水敏夫)氏、TATE-NORIO(山手安生)氏、USAKO-X氏、ZOE(山添浩史)氏の七名。いずれも当時SNKのサウンドチームである新世界楽曲雑技団に所属していた作曲家である。このうちHORI-HORI氏とUSAKO-X氏は本作で初めてKOFシリーズの作曲に参戦している。作品全体としては大幅な方向転換こそしたものの、楽曲のほうは本作でも対戦を盛り上げてくれる情熱的なサウンドが健在で、ロック、ジャズ、ハウス、テクノ、とりわけサイバーパンクな世界観を反映したエレクトロなど、様々なジャンルのものが揃っている。サウンドトラックはオリジナル音源のもののほかに恒例のアレンジ盤も発売されている。
前作までの主人公である草薙京は、本作では災難に見舞われて隠しキャラとしての参戦に留まっているが、最終ボス撃破時に一定のバトルアビリティを上回っていた場合に乱入してきて戦うことになる。その際の彼のテーマ曲として流れるこの曲は、96の日本チーム用テーマ曲『ESAKA?』のフレーズを組み込んだスタイリッシュなアレンジである。学ランから私服に、トレードマークのバンダナも燃やして戦う京の凛とした佇まいを象徴するかのごとく、イントロはアコースティックギターによる落ち着いた音色が奏でられる。そこから徐々に、じりじりと炎の勢いが強まるような調子でエレキギターが旋律を紡いでいき、やがて訪れるサビでは熱く滴るような哀愁と熱情を感じさせる。もともとクールだが、いっそう垢抜けたような印象を与える一曲である。
アレンジ盤に収録されているものは、より静けさとけたたましさの対比が際立っている気がして、アウトロで静寂に回帰するところが特に好きです。アレンジ音源、それと『ESAKA?』もあわせてどうぞ。