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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#127 『Infinite Handcuff』(青木千紘/龍が如く4 伝説を継ぐもの/PS3)

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セガがおくるアクションアドベンチャー龍が如くより、

青木千紘作曲、4の『Infinite Handcuff』。谷村正義の戦闘シーンで流れます。

ヤクザたちの生き様を描く龍が如くシリーズのうち、ナンバリングでは4作目、スピンオフの見参を含めると5作目にあたる本作。神室町で起こった些細な発砲事件を発端に、異なる信念を持つ四人の男たちが動き出すことになる。おなじみ桐生一馬に加え新たに三人のキャラクターを主人公に据えた、シリーズ初の複数主人公制の作品で、金融会社の社長や脱獄囚、警察官といった色物揃いの主人公たちが一堂に会している。それぞれの視点から紡がれるシナリオ、それぞれの特長を活かした戦闘スタイル、それらがやがて一つへとまとまっていくさまは、今までにない斬新さを生み出していて、意欲的な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは庄司英徳氏をはじめとする多数の作曲家たち。大まかに分けて、セガ所属の面々(庄司氏、青木千紘氏、甲斐孝博氏、金谷裕一氏、興野亮平氏、高木保浩氏、床井健一氏、福田有理氏、福山光晴氏)と、それ以外の外注の面々(MIT GATHERINGのYOSHITSURU氏・井関隆氏、POPHOLICのEIJI〈河合英嗣〉氏、Flarewaveの後藤重満氏、ノイジークロークの坂本英城氏、DIGITAL SONIC DESIGNの関美奈子氏)という内訳になっている。庄司氏のようにずっと携わっている作曲家もいれば、シリーズ初参加の顔ぶれもすくなくない。本作では各主人公ごとにアレンジがあるメインテーマをはじめ、熱い展開を盛り上げる楽曲が勢ぞろいしている。サウンドトラックは本作でシリーズ初の2枚組収録になった。

谷村正義を操作する際の戦闘曲として流れるのがこの曲である。主人公の一人で、警察官というお堅い肩書きに反して、ギャンブルを愛し、汚職や賄賂を公然とやってのける曲者である。彼を表現するにあたって、出だしから渋くしぶとく響くベースと、癖になるリズムパターンを組み合わせることで、非常に粘り強く侮りがたい印象を与える。10秒過ぎからエレキギターが鳴り出し、30秒過ぎからピアノも加わると、いずれも即興風なメロディーを奏でて軽やかで鮮やかな雰囲気を生み出す。剽軽者としての一面と、そうでありながらその実、一種生真面目すぎる性質とが絶妙に絡み合った、スタイリッシュな一曲である。

記事のなかで触れたメインテーマの『For Faith』、アレンジがいろいろありますが、ここはひとつ、谷村のアレンジ『For Faith (Instruments)』(作編曲とも庄司さん)を聴いていってください。

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