VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#200 『TECHNOTRIS』(田口洋/テトリス/FC)

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BPSがおくる落ち物パズルテトリスより、

田口洋作曲、ファミコン版の『TECHNOTRIS』。ゲーム中のBGMの一つ。

上から落ちてくるブロックを横一列に揃えて消していく、という単純明快なルールで愛されるテトリスシリーズのうち、ファミコン版として登場した本作。基本的なルールやゲーム性はそのままに、肝となる操作がアーケード版および後の作品群とはやや勝手が異なり、十字キーでブロックを移動・回転し、Aボタンでブロックを落下させることになる。スピーディーに展開する中毒性の高いゲーム性が特徴で、本作を皮切りに続々と家庭用機への移植が進められていった、ある種の記念碑的な作品である。

本作の音楽を担当したのは篠田元一氏、田口洋氏、四元久氏の三名。いずれも当時ガブリンサウンドに所属していた作曲家である。ガブリンサウンドは今でこそすでに解散しているが、90年代前後のゲームミュージックを幅広く手がけていたサウンドチームである。テトリスの音楽といえば、コロブチカをはじめとするロシア民謡を取り入れていることで広く知られているが、本作でもカリンカトロイカなどを採用してその路線を継承しつつ、オリジナル曲も収録している。また、開始時にステージ曲を3曲のなかから選択できる仕組みとなっている。サウンドトラックは同じくBPS製のX68k版のアレンジ盤が存在するが、ファミコン音源を収録したものは未発売である。

本作オリジナル曲の代表格にしてBPSテトリス屈指の目玉曲が、他ならぬこの曲である。タイトルに『TECHNO』と冠しているように、テクノサウンドを意識した先鋭的な音使いが印象的で、ロシア民謡で固められている他の楽曲と比べても異色な雰囲気を漂わせている。ブルグミュラーアラベスクから一部メロディーを借用している部分があり、中東のエキゾチックな色合いを付加することで、独特な没入感を生み出している。背後に響くファミコン音源ならではの粗削りなノイズも相まって、テトリス特有のストイックな魅力を十二分に引き出した一曲である。

何度もアレンジされていますが、個人的に気になるのはスマホ向けのテトリスモンスター(サービス終了済み)での編曲。どなたの編曲かは分かりませんが、かなりアラベスク寄りの愉快なアレンジです。

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