椎名豪作曲、3の『風雲！バチお先生』。ナムコオリジナル曲の一つ。
面を叩くドンと縁を叩くカッで区別される太鼓をリズムよく打ってプレイする太鼓の達人シリーズのうち、ナンバリング3作目にあたる本作。シリーズで初めてバトル（2Pプレイ）が導入されたのが大きな目玉で、新しい音符として時間内に一定回数叩いて割る風船（ゲキ連打）が登場した。演出面の強化や画面構成のテコ入れなどの細かい調整も施されていて、今の太鼓の達人のプレイスタイルを築き上げるのに一役買った仕上がりなっている。
本作の収録曲はぜんぶで44曲、うちナムコオリジナルがちょうど四分の一にあたる11曲（新規オリジナルは6曲）となっている。J-POPやアニメ、童謡など、様々なジャンルの曲がバランスよく収録されている。当時ナムコに所属していた椎名豪氏も、ナムコオリジナルの枠でいくつか楽曲を提供していて、氏ならではの中毒性の高い節回しは本作でも健在である。サウンドトラックはタイトルごとには存在しないが、本作の楽曲は主に2003年に発売されたレッド・ブルー（同名のシリーズ作とは無関係）に収録されている。
バチお先生とはバチを擬人化した本作オリジナルのキャラクターで、よくプレイ画面の右下で踊っている不思議な生き物である。その彼の名を冠するこの曲は、ある意味彼のキャラクターソングとも言える一曲である。ところどころノイズが聴こえる、くぐもったかのように響くストリングスと和楽器が組み合わさった和ロックで、そのストイックなまでに複雑な曲調は、実際の譜面においても遊び応えのある難度を誇る。曲中盤に押し寄せる怒涛の65連打や曲が一瞬止まる仕掛けなど、メリハリのある要素に満ちている。後に音源違いやロングバージョンも登場し、ロングバージョンはノイズを減らした分、神秘的なコーラスをフィーチャーしたテクニカルな音使いが魅力である。
魔術的に美しいというか、何か異世界に迷い込んだような雰囲気を醸す一曲ですね。ロングバージョンもどうぞ。
