Cœur de pirate作曲、『Aurora's Theme』。タイトル画面等で流れるメインテーマ。
Ubisoft Montreal製の横スクロール型RPGとして登場した本作。19世紀末のオーストリアに暮らしていたはずの公爵家の令嬢・オーロラは、ある日、見知らぬ不思議な世界・レムリアで目覚め、闇に閉ざされたレムリアに光を取り戻すべく、ホタルのイグニキュラスと一緒に旅することになる。絵本を読み進めるような美しい水彩画のグラフィックと、王道を突き詰めたファンタジックなシナリオが特徴で、フィールド移動時は2D横スクロールタイプのアクション、戦闘時はシンボルエンカウント式のコマンドバトルという一風変わった形式を取っている。JRPGライクな古典的ながらも丁寧なつくり込みと、細部まで洗練されたゲームデザインとが相まって、幻想的な完成度を誇る仕上がりとなっている。後にVitaとスイッチに移植された。
本作の音楽を担当するのはCœur de pirate氏。このペンネームは「海賊のハート」を意味するもので、本名はBéatrice Martin、カナダ出身の新進気鋭の歌手兼ピアニストである。デビューアルバムはインディーズながらもカナダやフランスといったフランス語圏を中心に大ヒットを記録した経歴がある。本作においては氏の得意とするピアノをふんだんに用いつつ、ときには雄大なコーラスも交えた楽曲を各種取り揃えることで、神秘的な世界を余すことなく表現している。サウンドトラックは各種オンラインストアでデジタル配信されている。
オーロラとは本作の主人公であり、ところどころ世間知らずだが純粋な魂を持ついたいけな女の子である。その彼女のテーマであり、ひいては本作全体のメインテーマでもあるこの曲は、タイトル画面、フィールド、その他いくつもの重要なシーンで使われ、『Final Breath』といったアレンジも作中に存在する。壮大な、それでいてあくまで静謐さを保った流麗なオーケストラとともに、ピアノの柔らかな旋律が奏でられることで、夢見心地ともいえるような幻想的な透明感を生む。1分40秒あたりからしばしアコースティックギターのみを随伴させたピアノの音色が響き渡り、その後再びストリングスが加わると、そのメリハリの効いた曲調で、少女の内に秘められた力強い決意と希望の光を浮かび上がらせる。テーマ曲にふさわしい、勇ましくも儚い一曲である。
『Final Breath』はピアノを強調することで儚さに磨きをかけたアレンジです。あわせてどうぞ。