CD PROJEKT REDがおくるオープンワールドアクションRPG・The Witcherより、
Percival作曲、3の『Cloak And Dagger』。
意味は「外套と短剣」で、ホースレースおよびエンディングで流れます。
ポーランドのファンタジー作家・Andrzej Sapkowskiによる小説「The Witcher(原題Wiedźmin)」を原作とするシリーズの3作目にあたる本作。超人的な能力を駆使して魔物狩りを生業とするウィッチャーが存在する世界を舞台に、ウィッチャーであるリヴィアのゲラルトは、大陸の各地を冒険しながら、養女のシリをめぐる壮大な運命に巻き込まれることになる。シリーズ初の日本語へのフルローカライズに対応した作品で、細部まで奥行きたっぷりに練り込まれた濃厚な世界観、シームレスに延々と続く広大なフィールド、プレイヤーの選択によって分岐するノンリニアなシナリオが特徴である。狩りに乗馬にカードゲームなど様々な遊びが詰まっていることから、いくらでも寄り道できるうえにどれもが丁寧につくり込まれていて、量も質も充実した大作に仕上がっている。後にスイッチにも移植された。
本作の音楽を担当するのはMarcin Przybyłowicz氏とMikołaj Stroiński氏、さらにゲストとしてPercivalの面々である。Przybyłowicz氏はポーランド出身のゲーム音楽作曲家で、シリーズには2作目から携わっている。Stroiński氏はシリーズ初参戦のケニア出身の作曲家で、普段はゲームに限らずテレビや映画の劇伴も務めている。Percivalはポーランドのフォークバンドで、スラヴ系フォークメタルのジャンルで活躍するPercival Schuttenbachからメタル要素を差し引いた派生ユニットである。本作では徹底的にこだわり抜かれたハイファンタジーの作風に合わせて、どこか浮世離れしているが、同時にノスタルジックでもある楽曲が数多く収録されている。また、DLCの追加曲では新たにポーランド出身のPiotr Musiał氏も参加して作曲している。サウンドトラックはオリジナル盤とDLC2種の音源とがそれぞれ発売されいている。
馬に乗って広野を駆けるホースレースで流れ、また、本作のエンディングにも使用されているのがこの曲である。Percivalの基本構成はサズ(トルコ近辺の伝統的な撥弦楽器)奏者1人、ビザンチン・リラ(ビザンツ帝国由来の竪琴)奏者1人、バウランおよびダヴル(前者はアイルランド、後者は中近東の伝統的な打楽器)奏者2人という異色のフォーピースバンドで、必要に応じてフルートやピッコロ等の楽器も用いている。そうした特異性を活かして紡がれる異国感漂う旋律が、摩訶不思議な心地良さを生み出している。シャラシャラと鳴る撥弦楽器の音色に、44秒あたりから透き通るような笛の音が加わることで、味わい深い寂寥感を醸す。1分13秒頃には撥弦が抜けた代わりに打楽器が目立つようになり、高らかに響く笛の音ともども独特な荒涼感を生む。果てしなくどこまでも広がる世界を彩るにふさわしい、哀愁と郷愁に満ちた一曲である。
無性に旅に出たくなる気分にさせてくれますね。