角川ゲームスがおくる戦車と犬と人間のRPG・メタルマックスより、
門倉聡作曲、3の『地獄は満員』。徒歩の一人旅やネツィブ・メラハで流れます。
大破壊により荒廃した近未来で、戦車と犬とともに賞金稼ぎとなって冒険をするメタルマックスシリーズのうち、ナンバリング3作目として、2以来約17年ぶりに登場した本作。電撃蘇生学の権威であるDr.ミンチの実験によって死体から蘇るも記憶を失ったままの主人公が、自身の正体と死因を知るべく旅立つことになる。データイーストから代わってキャトルコール、エンターブレイン、クレアテックの三社が共同で開発し、角川ゲームスが販売を担当している。本作から新たにマルチパーティシステムが導入され、自由度の高いシナリオを自分好みのパーティで攻略できるようになった。戦車、カスタマイズ、賞金首、職業ともにバリエーションが増え、久しぶりの完全新作として、メタルマックスらしさを正統に受け継いだ仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは門倉聡氏。おなじみメタルマックスシリーズに、外伝のメタルサーガを含め、携わり続けている作曲家である。本作でも今まで通りのハードボイルドなロックサウンドが健在で、過去作からのアレンジ曲もいくつか収録されている。サウンドトラックは初回限定盤に同梱されたミニサントラのほか、全曲収録したうえでユーザーのリクエスト企画に応じて人気曲をセルフアレンジしたものも完備したオリジナルサウンドトラックが発売されている。
徒歩の一人旅におけるフィールド曲として、また、本作の敵組織である冷血党の本拠地たるネツィブ・メラハにおけるダンジョン曲として流れるのがこの曲である。息もつかせぬままがなり立てるエレキギターとオルガンによる協奏が印象的で、ブラスの音色がファンキーなジャズらしさを添えている。基本的に徒歩の一人旅は序盤のうちで、ネツィブ・メラハは終盤に攻略するため、使用箇所が乖離していて一見何の繋がりもなさそうだが、その秀逸な曲名のセンスが、序盤で地獄から追い払われて復活した主人公の様子と、ダンジョン内が敵であふれかえった地獄絵図の様子を結び付けてくれる。本作の作風にふさわしい荒廃感を漂わせた一曲である。
この曲は曲そのものはもちろん、ネーミングセンスがとても好きです。