本間雅明作曲、『そうげん』(仮称)。そうげんで流れます。
世界初の2人協力プレイが可能な作品として、ゲームボーイカラーにて登場した本作。モンスターと人間が暮らす世界を舞台に、興味本位で人間に近付くも力加減が分からず危害を加えてしまうモンスターたちへの対抗策として、モンスターと戦って戯れることができる装置・メタモードを開発、これを使いこなすクールス警備隊の一員となって冒険を進めていくことになる。メタモードを使って、男女それぞれ45種類ずつ、あわせて90種類に及ぶすがた(ジョブ)に変身しながら、ジョブごとに固有の計500種類の技を用いて切り替えスクロール式のフィールドを攻略していく。通信ケーブルを使えば通信相手と一緒に冒険することができる点も特徴的で、色彩豊かで個性的なグラフィック、豊富なコレクション要素と相まって、様々な遊び方が混在した意欲作となっている。
本作の音楽を担当するのはコーエー所属の本間雅明氏。玉山文人氏率いるスタジオクリシェもスタッフロールに名を連ねているが、そちらは作曲ではなくサウンドプログラミングを担当していたようである。本作では全体的に低年齢層向けのポップな路線をとっていることから、音楽も明るく溌溂とした曲調のものが多いが、なかにはゲームボーイ音源の素朴な勇ましさを見事に引き出した、情熱的でパワフルな楽曲も揃っている。サウンドトラックは発売されていないため、曲名は便宜上の仮称とする。
フィールドの各地に広がる草原で流れるのがこの曲である。突き抜けるような爽快感を誇る旋律が、重厚なリズムを刻む伴奏と相まってエネルギッシュな雰囲気を醸し出し、ぐんぐん前へと進みたくなる冒険感に満ちている。サビに向けてじりじりとテンションを高めていくと、40秒あたりで開放感たっぷりに鮮やかなメロディーを紡いでいく。同じフレーズを二度繰り返した後に、数秒間だけ伴奏のみの間奏を経てループに入り、いっそう力強い躍動感を漂わせながら再始動する。いざ冒険へ、という瑞々しい期待感にしっかり応えてくれるような勇猛な一曲である。
実に良曲揃いで、やまもいいですし、としょかんもいいです。前者はアンデスのフォルクローレのような穏やかな哀愁に満ちた一曲で、後者はこれだと本を返すのも決死の覚悟ですね。あわせてどうぞ。