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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#650 『エンディング』(鶴山尚史・花岡拓也/ZOIDS SAGA II/GBA)

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玩具シリーズ「ゾイド」を原作とする、トミーがおくるRPGゾイドサーガより、

鶴山尚史・花岡拓也作曲、2の『エンディング』(仮称)。エンディングで流れます。

動物を模した金属生命体の玩具シリーズ・ゾイドのゲーム化作品のうち、ゾイドサーガの続編として登場した本作。惑星Ziを舞台に、異なる時代や世界で突如同時発生した謎の地震によって時空が融合、ゾイド乗りの主人公・ゼルは、記憶喪失の少女・ユーノと出会うも悪の組織に連れ去られてしまったがために、世界とユーノを救う旅に出ることになる。アニメ版のスラッシュゼロの物語を下敷きに、無印やVSなど各作品をクロスオーバーしつつ、基本的にはオリジナルストーリーが展開していく。戦闘システムやグラフィックまわりが大幅に強化されたほか、ゾイドのカラーリング変更を含めたカスタマイズ要素も搭載していて、前作から正統にパワーアップした仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは鶴山尚史氏と花岡拓也氏。前作でもサウンドを手がけた音楽制作会社サラマンダー・ファクトリーの作曲家たちである。本作では新曲の提供は少数にとどまっているが、前作の楽曲との兼ね合いを考慮して、違和感が生じないように前作で採用した音の仕様(発音数や容量など)を変えずに作曲をおこなったという。そのため、グラフィックなどと比べて音楽面での進化を感じにくい部分があるものの、新曲のどれもが前作に負けず劣らず情熱的な出来映えで、物語を大いに盛り上げてくれる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

スタッフロールとともにエンディングで流れるのがこの曲である。どこか心安らぐような、それでいて確かな哀愁を漂わせるイントロが、冒険の終わりを優しい余韻で包み込み、さらにそこに笛やエレキギターが加わることで、感傷に浸りつつも徐々に勢いを蓄えていく。1分10秒あたりでオケヒの力強い音色が鳴り響くと、続いてやってくるサビは切なくも勇ましい叙情的な盛り上がりを見せ、しばらくして再び元の静けさに戻ると、今一度柔らかい余韻を残してくれる。エンディング後の短いながらも印象的なエピローグと相まって、しっかりと心に刻み込まれるような一曲である。

終わったなあ、と実感できるような曲ですね。ほっとするような、でもすこし寂しいような、そういう気分がよく表現されています。