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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#814 『ワールドグランプリのテーマ~コスモスピード』(田辺文雄/チョロQワンダフォー!/PS)

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タカラがおくるレースゲーム・チョロQより、

田辺文雄作曲、ワンダフォーの『ワールドグランプリのテーマ~コスモスピード』。

ワールドグランプリで流れます。

タカラ製のぜんまい式ミニカーを題材にしたチョロQシリーズのうち、それまで開発を手がけてきたタムソフトに代わりE-GAMEが制作した本作。壊れてしまったワールドグランプリの優勝カップを元に戻す方法を探るべく、今度のチョロQは世界各地、ときには過去にまで遡って冒険することになる。レースゲームにRPG要素を足したようなつくりとなっていて、最終的にグランプリ優勝を目指す道すがら、いろんな街を巡って住人と話したり依頼を受けたりしてイベントをこなしていく。燃料システムが導入されたことで、燃料切れに注意しながら走行する必要が出たほか、車の挙動もリアル志向になり、全体的な難易度も上昇している。従来とは異なるゲーム性を打ち出した意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは田辺文雄氏。当時E-GAMEに所属していた作曲家で、それ以前はタムソフトに在籍していた。チョロQシリーズには初代から携わっていて、本作では効果音も含めて単独で手がけている。本作ではそれまでのCD-DA音源ではなくPSの内蔵音源を使っているようで、RPG要素にあわせてレース用のBGMのみならず街ごとのテーマも用意されているなど、コミカルなものからシリアスなものまで充実した楽曲が揃っている。サウンドトラックは使用箇所が曲名に明記される形で収録されている。

紆余曲折あっていよいよ挑むことになるワールドグランプリの大一番で流れるのがこの曲である。ワールドという名がつく通り、今まで訪れた街々のすべてがレースの舞台で、燃料配分を考えながら手に汗握る激戦を攻略することになるが、そうした白熱のシチュエーションを、音の隅々から滲み出る最高潮の緊張感をもって見事に表現している。イントロの第一音からしてすでにただならぬ気配を直感させ、じりじりと焦燥感を煽る伴奏のフレーズを幾度となく反復することで、その上を走るスピーディーな主旋律を鮮やかに強調する。終始冷静でシリアスな曲調ながらも、平常心を保つのが困難なほどの刺激的な昂揚感に満ちた一曲である。

このシリアスで情熱的な感じ、なんとなくライブアライブの『MEGALOMANIA』を思い出すんですよね。チョロQHG2には田辺さん本人によるセルフアレンジがあって、音質が向上したのと近未来的な印象が強まったのとでこれまたすごくエキサイティングな出来映えです。あわせてどうぞ。

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