ハドソンがおくるアクション・桃太郎活劇より、
吉田美智子作曲、『カチカチやまの村』（仮称）。5面で流れます。
桃太郎を題材とするハドソンのRPG・桃太郎伝説シリーズの派生作品にあたる本作。主人公の桃太郎は、各地の村を巡りながら鬼退治に向かうことになる。全8面構成でギミック満載なステージクリア型の横スクロールアクションである。各ステージには開始地点付近に村があり、村人と話したり武器を買ったりできるため、アクションを軸としつつRPGらしい冒険感も味わえる。ミニゲームをクリアすることで術を習得できる仙人の庵や、丁半博打を遊べるかぐや姫の賭場などもあり、道中を彩る寄り道要素が充実している。特筆すべきは間口の広い難易度で、4段階のうち最も易しいかんたんモードなら落下死が無効化されるうえに万が一ミスしても所持金が減らないなど、手厚く配慮されている。また、明瞭なチュートリアルやボスの弱点表示といった親切設計が多く取り入れられている。コミカルな作風と相まって手堅く親しみやすい仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは吉田美智子氏。スタッフロールのサウンド欄には滝本利昭氏と星恵太氏（いずれも当時ハドソンに所属していたサウンドクリエイター）がクレジットされている。吉田氏は桃太郎シリーズには本作を皮切りに、本作の楽曲のアレンジで構成されるゲームボーイ向けの桃太郎電劇および桃太郎電劇2にも携わることになる。本作では桃太郎らしい溌溂とした雰囲気に合わせて、主に和のエッセンスを含んだ明るくキャッチーな楽曲が揃っている。その一方で、なかにはシリアスな印象を与える切ない曲調や疾走感あふれる曲調のものも存在する。サウンドトラックは未発売で、作中にBGMを聴ける音楽室が搭載されているものの個別の題名は表示されないため、曲名は便器上の仮称とする。
5面「カチカチやまの村」のステージ道中で流れるのがこの曲である。マグマのギミックがある炎のステージで、熱々な仕掛けを同じく熱い曲調で臨場感たっぷりに彩る。非常にアップテンポで熱量満点なイントロで始まり、鮮やかに突っ走る主旋律を支えるようにして、独特なドライブ感のあるベースやドラムが特徴的に響き渡る。15～16秒で短くミの音を連発すると、よりいっそう勢いに弾みがついて歯切れの良い印象を強める。20秒ほどで一区切りつき、その後は再び同じフレーズを反復するが、この時点ではまだループには至っておらず、38秒で以って完結すると、イントロを含めた状態で頭から繰り返すことになる。短いながらも烈火の如き力強い情熱に満ちた一曲である。
冷やかな悲壮感漂う3面（ねたろうの村）の曲と双璧を成すようなイメージです。あわせてどうぞ。
