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#1228 『Debug Dance』(lapix/MÚSECA 1+1/2/AC)

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コナミがおくる音楽ゲーム・MÚSECAより、

lapix作曲、1+1/2の『Debug Dance』。シュクコン採用曲の一つ。

音楽ゲーム×イラストのコンセプトのもと、主に楽曲やイラストを公募してコンテンツを提供するMÚSECAシリーズの第1.5弾にあたる本作。肝となるコンセプトは無印を踏襲しているが、Grafica関連の大幅な仕様変更、モードの二分化、LIFE制の廃止、各種UIや操作性の改善など、システムの大部分が様変わりした。Graficaとは特殊能力を持つキャライラストのことで、セットしたGraficaに応じて楽曲プレー時に効果を発揮するほか、無印ではスコア倍率に影響し、同じ譜面でもGrafica次第で最大スコアが異なっていたが、本作でその仕様は撤廃された。Graficaが10の所属世界(スコア重視やクリア重視などプレー傾向に対応する)で分類された前作から変わり、本作では5つの属性(攻略に役立つ有利相性を持つ)が新設された。入手したいGraficaにあわせて課題曲に挑む解放ミッションと、Graficaに囚われず好きな曲を遊べるシンプルな音ゲーモードが搭載されるようになり、ゲーム全体に及ぼすGraficaの影響力が薄まった。そのほかにも大小様々な調整が施され、無印から大きく生まれ変わった意欲作に仕上がっている(現在はオフライン稼働に移行された)。

本作では公募形式で楽曲やイラストを募っていて、音も画も斬新な個性にあふれたものが揃っている。一方で、版権曲や他のBEMANIシリーズからの移植曲、ボカロ曲、東方アレンジなども収録されていて、ネット発の音楽を中心としたラインナップを楽しむことができる。本作オリジナルは60曲以上あり、音ゲー界隈で馴染みのあるアーティストによる採用曲に加え、過去にBEMANIシリーズへの参加実績を持たない作家を対象としたNEW FACEコンテストの採用曲も含まれる。また、2015年末から2016年始にかけておこなわれた「MÚSECAの稼働をぱーっとお祝いするコンペティション(略してシュクコン)」では、Graficaの所属世界(前述の通り10種類で、漢字一字のお題)にちなんだ楽曲とイラストが募集された。「電」部門で採用されたlapix氏は、過去にSOUND VOLTEXなどで採用経験のあるネット発のアーティストで、Hi-tech Fullonというサイケトランスやフルオンに連なるアガる音楽を得意とする。サウンドトラックは本作単体では未発売である。

シュクコン採用曲の一つとして2016年11月に配信されたのがこの曲である。冒頭から分厚く響くピアノの音色が印象的で、ずっしりとした響きを帯びつつ、曲名通りの舞うような軽快さをも持ち合わせている。8秒からは歌声のようなサックスのような艶やかな音色が入り、フュージョンに通ずる小気味良さをもたらす。14秒からしばらく喧噪に呑まれると、その騒がしさがかえって癖になるような独特な耳心地を生む。40秒あたりでピアノが再合流するも、一時的かつ断片的な出番に過ぎず、すぐにまたグリッチ交じりの電子的な喧噪に包まれる。50秒頃で緊張が高まり切ると、以降は滑らかで心躍る旋律を奏でるようになり、1分18秒でピアノが復帰すると、今度は間断なく演奏する。ちょうど1分半から始まるクライマックスのサビでは、今まで以上にスピーディーに疾駆し、さながら電光のような俊敏さを感じさせる。聴いているだけでテンションが跳ね上がるようなノリノリな一曲である。なお、譜面に関しては速くて休みなく攻めてくる複雑さがあり、正面から実力を問われるような仕上がりとなっている。

lapixさんのアルバム「JazzFunktion」に尺を延長したExtended Mixがあり、最初から最後まで魅せてくれます。あわせてどうぞ。

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