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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1229 『モコモコの森』(h.ToBetA/こみゅにてぃぽむ/PS)

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フィルインカフェがおくるアクションRPG・こみゅにてぃぽむより、

h.ToBetAこと戸部田英樹作曲、『モコモコの森』(仮称)。モコモコの森で流れます。

上記動画の1:49から4:14まで。

あすか120%などで知られるフィルインカフェの初の自社パブリッシングタイトルとして登場した本作。ぽむと呼ばれる不思議な生物がいる世界・ちきうを舞台に、幼い頃からぽむと遊び親しんできた見習い魔法使いのルルは、村の家畜を襲った犯人としてぽむが槍玉に挙げられるなか、ぽむの無実を証明すべく真犯人を探して旅立つことになる。メルヘンチックな世界観と、見下ろし型の2DアクションRPGと育成シミュレーションを掛け合わせたゲーム性が特徴である。魔法やぽむの助力を用いたシンプルなアクションで冒険を進める傍ら、ぽむを保護して育て、ぽむのこみゅにてぃを形成・発展させていく。こみゅにてぃとは街づくりのようなもので、畑で餌をつくり、つくった餌でぽむを働かせて施設を建設することで、施設に応じた様々な恩恵を得られる。ぽむ集めやこみゅにてぃ経営は冒険の役に立つが、あくまで任意のやり込み要素という立ち位置で、まったり自分のペースで楽しめる。可愛らしい質感のドット絵に見合うように、謎解きやゲームバランスは緩めで、ほんわかとした遊び心地を持つ仕上がりとなっている。後に廉価版(新たに副題が付された)が発売された。

本作の音楽を担当するのはh.ToBetA(戸部田英樹)氏。一部作曲、編曲、効果音制作で渡辺寛太氏がクレジットされている。戸部田氏は当時ナムコに所属していた作曲家で、戸部田馬準、トベタ・バジュンといった別名義でも知られる。本作では柔らかい作風に沿ったファンシーで躍動感のあるサウンドが揃っていて、似通ったメロディーを繰り返し用いるミニマルでキャッチーなものが多い。80~90年代の邦楽や、特定の洋楽を彷彿させるような楽曲があり、それらが本作の雰囲気にうまく融け込んでいる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

モコモコの森で流れるのがこの曲である。村を出てすぐのフィールドであるため、序盤から聴くことになる。陽気な色合いを帯びた旋律に、シャリシャリと鳴り続けるタンバリン、不思議な弾力のある口琴の音色が組み合わさることで、お茶目だがスタイリッシュでもあるような奇抜な聴き心地を生む。32秒過ぎ(2:21)で細切れの音色を敷き詰めつつ、相変わらず口琴の独特な響きを取り入れると、心躍るような前のめりなグルーヴ感をもたらす。サビに向けて勢いを溜めた後、43秒頃(2:32)で音階を順に下っていくことで、心地良いカタルシスを感じさせる。以降、ループを見据えてしばらくフレーズを反復しつつ曲調を整えた後、1分6秒あたり(2:55)で冒頭から再始動する。明るく弾けたノリと渋くて快い印象を兼ね備えた一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。これはデルフォニックスのオマージュですかね。

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