セガがおくるフィッシングゲーム・セガマリンフィッシングより、
飯田誠作曲、『THE OFFING』(仮称)。沖で流れます。
海釣りを題材にした作品として、ゲットバスの後継作のような立ち位置で登場した本作。プレイヤーは釣り人となり、大物を狙って海釣りに挑むことになる。竿を模したコントローラが備え付けられた筐体で、ルアー選びからキャスティング、フッキング、テンションの維持、釣り上げまで、一連の流れを疑似体験できる点が特徴である。釣り場はCORAL REEF(さんご礁帯)、SHALLOW(遠浅の海)、THE OFFING(沖)の3フィールド、釣れる大型魚はカジキやサメ、カニなど10種類以上用意されている。釣果に応じてポイントが加算され、制限時間内にノルマを達成するとフィールドクリアで次の釣り場に移動する。すべてのフィールドをクリアした暁にはHIDEAWAY OF BIG FISH(大物の隠れ家)へと進める仕組みである。全体的に釣り一筋のゲーム性でボリュームはすくなめだが、水深を考慮したルアーの使い分け、魚ごとの動きの癖、大物を釣り上げたときの周囲の反応の豊かさなど、海釣りらしい手応えが感じられるよう工夫が凝らされている。総じてテンポよく海釣り気分を味わえる仕上がりとなっている。後にドリームキャストに移植された。
本作の音楽を担当するのは飯田誠氏。当時シムスに所属していた作曲家である。シムスは設立当初はセガ出資の関連会社で、本作の開発にも関わっていた。飯田氏は本作の稼働前年にゲットバスのドリームキャスト移植に携わった経験がある。本作では大海原の開放感と釣りの攻防の緊張感を表現するにあたって、リキッド系の清涼な印象が漂うハウスやドラムンベースを採用している。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
THE OFFING(沖)で流れるのがこの曲である。全フィールド中、最も水深のある釣り場で、底のほうにはマグロやカジキなどの超大物が回遊している。大物釣りのロマンに胸躍らされるなか、イントロからシンセやパーカッションを巧みに組み合わせることで、非常に冴え冴えしく研ぎ澄まされた雰囲気を生み出している。11秒頃からドラムがにわかに勢いづいてブレイクビーツ風のリズムパターンを披露するようになると、メロディー部分を担うシンセやベースよりも強く目立って曲全体を牽引していく。メロディーはいたって静かで透明感に満ちているが、ドラムが激しく躍動感たっぷりに主張することで、静と動が共存する独自の響きを醸している。48秒からはまるで水面に光が反射する様子を表現するかのようにシンセベルがきらきらと鳴り続け、やがて収束すると、ちょうど1分ですんなりとループに突入する。期待と忍耐、緊張と昂揚、様々な思いが詰まった一曲である。
聴いていると血の巡りが良くなりそうな気がします。個人的な血行促進BGMがヒーリング系ではなくDnBというのはちょっと趣味が出すぎているかもしれませんが。