フリューがおくるアクションRPG・クライマキナより、
削除作曲、『FightSecondDeusExMachina_Ecclesia();』。
第二神機エクレシアとの戦いで流れます。
少女が泣いて抗うアクションRPG・クライスタの精神的後継作として登場した本作。人類滅亡後の未来、人類再生を目指す神機たちが管理する構造体・エデンを舞台に、人格データを有する機械少女・E.V.E.として覚醒したレーベンは、暴走する神機たちを抑えて本物の人間と認められるべく運命に挑むことになる。氾濫する専門用語とどんでん返しで彩られたハードなポストアポカリプス百合SFで、萌えと歪みと残酷さが綯い交ぜになった作風が特徴的である。主に3Dのステージを探索して敵を薙ぎ払うアクションパートと、拠点で少女同士のお茶会を楽しんだり資料を眺めたりしてキャラや世界観への理解を深める交流パートに分かれている。アクションはハイスピードなハクスラ的な手触りがあり、眷属機と呼ばれる兵装の組み合わせやプレイアブルキャラによる性能差なども設けられている。ステージ構造が世界観描写の一環なのか空虚で単調なきらいがあり、攻略上の深みやメリハリはやや乏しい。一方で物語やキャラ同士の関係性はなかなか攻めていて見どころがある。総じてニッチながらポイントを押さえた魅力を備えた仕上がりとなっている。後にSteamに配信された。
本作の音楽を担当するのは削除氏。音楽制作サークル・Diverse Systemに所属する作曲家で、Sakuzyo名義でも知られる。クライスタに引き続き本作を丸ごと単独で作曲していて、本作を本作たらしめる雰囲気づくりに大きく貢献している。電子音楽を軸とした音楽性はクライスタに通ずるところがあるが、本作はファンタジーよりもSFに特化した世界観であるため、また違った切り口で畳みかけるような流麗さと昂揚感のあるサウンドを書き下ろしている。要所要所で透き通る女声ボーカルを取り入れていて神秘的かつ刺激的なムードを醸しているほか、戦闘曲を中心に数が豊富に揃えられていて、メリハリのあるサウンドを楽しむことができる。一部の曲名や歌詞がプログラミング風になっている点も印象深い。サウンドトラックにはセルフリミックス含めて3枚組で収録されている。
第二神機エクレシアとの戦いで流れるのがこの曲である。秩序維持を司るエデン最強の機械で、開始早々のチュートリアルで襲いかかってくる。その後は神出鬼没の存在として暗躍し、終盤で一度、クリア後に任意の隠しボスとして再登場する。疾走感あふれるイントロで一気に臨戦態勢に引き込み、歌声が入るとシンセとギターが複雑かつ苛烈に絡み合って凄まじいプレッシャーを放つ。26秒頃で名前をささやくと、鋭いストリングスとノイズを交えて鮮やかに切り替え、ますます息が詰まるような圧迫感とスピード感を生む。非常に攻撃的で容赦のない曲調だが、歌声の美しさや柔らかさを通じて不思議と慈しみを感じさせるところがあり、圧迫されているけれど解放的でもあるような絶妙なバランスを保っている。1分あたりから明確な歌詞を伴った歌唱が終了すると、むしろここからが本番とでも言わんばかりにサイレン風の効果音を鳴らして危機感を強く煽る。1分半でブツッと切れたかと思えば、直後にギターが強靭な演奏を披露し、連続で刻み続ける電子音と相まって爆発的なエネルギーを放出する。音の隅々まで最強としての風格や貫禄が滲んだ一曲である。
容赦はないけど慈悲はあるのは騎士道精神の究極形ですかね。この曲には宿っていると思います。