VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1663 『SPEED』(前田尚紀/沙羅曼蛇2/AC)

www.youtube.com

コナミがおくる縦横両スクロールシューティング・沙羅曼蛇より、

前田尚紀作曲、2の『SPEED』。5面で流れます。

グラディウスの続編兼派生作品である沙羅曼蛇の流れを汲むナンバリング2作目にあたる本作。星間歴0999、亜空間生命体・ドゥームの侵略により様々な星系が飲み込まれるなか、人類最後の希望をかけて2機の超時空戦闘機が発進することになる。全6面×2周構成、1・3・4・5が横で2・6が縦スクロールで進行する。前作同様、二人プレイ対応でアイテム式のパワーアップ、自機にシンクロするオプション(前作で言うところのマルチプル)など、基礎的なゲーム性は受け継いでいる。一方で、縦スクロール面でのミサイル投下を伴う高低差や地形差が廃止されたほか、スクロール速度が緩やかに、エクステンドと1周目限定でコンティニューが可能になり、全体的にこぢんまりとまとまっている。新要素としてオプションを敵めがけて飛ばすオプションシュートが導入されたのに加え、ミス後の挙動調整、アイテムや武装の追加・性能向上が図られている。前作と比較するとやや地味な印象があるが、堅実さのある仕上がりとなっている。後にシリーズ作品とセットでセガサターンやPS、PSPに移植された。

本作の音楽を担当するのは前田尚紀氏。スタッフロールでは特に区別なくサウンドデザイン欄で高峰勇一氏とともにクレジットされているが、前田氏が作曲担当で高峰氏が効果音等制作担当のようである。いずれも当時コナミに所属していた作曲家である。前田氏がグラディウスシリーズに携わるのは今のところ本作のみに留まっているが、前作担当者の東野美紀氏が築き上げた切れ味抜群のFM音源サウンドを意識しながら、新たにメタリックで爽快な楽曲群を書き下ろしている。2周目のステージ曲には一部前作の楽曲のアレンジがあり、うまくスパイスが利いている。サウンドトラックについては本作単体で未使用曲含めて収録されたものが存在するほか、シリーズ作品をまとめたものののなかに本作の楽曲が含まれている。

1周目の5面で流れるのがこの曲である。横スクロール面で無数の隕石が漂うなかを掻い潜って敵基地へと潜入することになる。そうしたなか、小気味良くビートとリフを刻むテクノ調で昂揚感を駆り立ててくれる。初めは中低音域を軸として渋めに推移するが、20秒あたりから非常に澄んだシンセの高音が入ることで幻想的な疾走感を帯びるようになる。基本的には鮮やかな曲調だが、33秒から入るメロディーには微妙な不穏さと翳があり、46秒からのフレーズも壮大かつクールであるが、それと同時に油断ならない手ごわさがある。盛り上がるけれど盛り上がりすぎない匙加減が徹底されていて、ちょうどよく引き締まったストイックさが感じられる一曲である。

ゲーム外のアレンジでUSPの黒岩東彦さんのMIDI POWER Pro版がスローなバンド風ミックスになっていたり、TAPPY(岩瀬立飛)さんのpro-fusion版がチルでムーディーな雰囲気に再構築していたりして、聴き比べてみると幅が広くて楽しいです。あわせてどうぞ。

www.youtube.com

www.youtube.com