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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1677 『ブルーオの雪道』(絹川唯史・中川輝彦/ぷよぷよクロニクル/3DS)

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セガがおくるアクションパズルRPGぷよぷよクロニクルより、

絹川唯史・中川輝彦作曲、『ブルーオの雪道』(仮称)。同名のフィールドで流れます。

ぷよぷよシリーズの25周年記念作品として登場した本作。今度のアルルは謎の絵本に吸い込まれて世界を救う勇者として旅することになる。従来の落ち物パズルのゲーム性を維持しつつ、本作では異世界の冒険譚を描くRPGモードが収録されている点が特徴である。キャラもフィールドも3Dで表現された王道で愛嬌のあるファンタジー世界で、クエストをこなしてスキルバトルなる新ルールで対戦していく。戦闘システム自体は同色のぷよを繋げて消して連鎖を狙ういつものパズルだが、RPGならではのパーティ制でレベルや装備品の概念が存在する。具体的には最大3人の仲間とパーティを組み、4枚のカード(パラメータ上昇などの恩恵がある装備品)をセットし、ぷよを消すことで相手にダメージを与え、ときには仲間のスキルを発動して戦闘を有利に進めていく。探索や物語の流れは冗長なきらいがあり、RPGとしてのつくりは大味だが、ひとりやみんなで遊ぶ標準の対戦モードに関しては相変わらず充実している。既存17+新規1の計18種のルール、20人以上の歴代キャラが参戦していて、ソロやローカルはもちろん、一部はネット対戦にも対応している。総じて新旧のコンセプトを盛り込んだ意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは絹川唯史氏と中川輝彦氏。いずれもセガに所属する作曲家である。ぷよぷよシリーズには両名とも本作が初参戦のようである。これまで長くシリーズサウンドの作曲やディレクションを一手に担ってきた安倍栄基氏は、本作ではディレクションをメインに手がけていて、作曲は主題歌のみ中川氏と共同での担当に留まっている。絹川氏はファンタシースターシリーズやマリオ&ソニックオリンピックシリーズ、中川氏はサカつくや野球つく、マリオ&ソニックなどスポーツ系での担当作品が多く、各々の作風を活かしながら本作のRPG×対戦パズル(=広義の競技)モノらしい雰囲気に沿った楽曲を生み出している。キラキラしつつハラハラするようなシンセやオーケストラ系を軸に、特に管楽器や鍵盤打楽器の弾んだ音色がよく映える。サウンドトラックは本作単体では未発売だが、シリーズ楽曲を厳選収録した25周年アニバーサリーCDのなかに一部のみ本作の楽曲が含まれる。

ブルーオの雪道で流れるのがこの曲である。RPGモードの序盤に立ち寄る、あおの村 ブルーオという雪に覆われた集落に隣接するフィールドである。見渡す限り地面も木々もこんもり雪が積もっているほか、あちこちに滑る氷の床がある。そうしたなか、出だしから木琴やチャイム、まるで吐息のように響くシンセを巧みに絡め合わせて、好奇心を駆り立てつつ恍惚感を醸す。18秒には伴奏にストリングスの細やかな高音を加えていっそうリズム感を強調し、33秒には繰り返しを脱して鉄琴が煌びやかな演奏を披露する。さらに48秒以降で笛が聴こえ出し、耳馴染みする独特な寂寥感を生んだのち、1分3秒からはすこし不穏で不安定な、でも依然として心が弾むような神秘的な雰囲気を感じさせる。やがて間奏を経て1分40秒頃になると、音数を抑えながら軽やかに歌うような調子で丁寧に音色を紡いでいく。眼前に広がる銀世界への昂揚感、足元で雪を踏みしめる確かな感覚が音を通じて伝わってくる一曲である。

今はそういう季節ではないですが、なんだか雪だるまが作りたくなってきますね。